第6話:勝者の報酬

町はずれの広場で、女が喚いていた。


「決闘よ!二人とも、私を賭けて戦いなさい!勝った方が、私を手に入れられるのよ!」


白い鎧の騎士と、黒い鎧の騎士は顔を見合わせてため息をついた。

面倒事を避けて通るには、あまりに声が大きすぎる。


「・・・どうする?」

「やるか、適当に」

「さっさと終わらせよう」


二人の騎士は、渋々剣を抜き合った。

打ち合う剣の音は、まるでやる気のない拍手のようだった。


「何それ!そんなんじゃ私を巡る決闘にはならないわ!もっとこう、命を懸けて奪い合いなさい!私を手に入れたいでしょ?」


女の声がまた一段と大きくなる。


仕方なく、二人は少しだけ力を入れて剣を打ち合わせた。

キィン、と金属がきしむ音に、女の顔がパッと華やぐ。


「そうそう!私が魅力的すぎるからって、そんなに争わないでぇ〜!」


女はニヤつきながら、二人の間に割って入った。


その瞬間、騎士たちは目を合わせ、ひとつ頷いた。


シュッ。


次の瞬間、女は真っ二つに裂け、倒れた。


白の騎士が言う。「この勝負、引き分けとするか」


黒の騎士が応じる。「そうだな報酬は半分ずつとしよう」


「いらないがね」と、二人は声を合わせ、剣を納め笑った。

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