第3話:任務遂行

「標的を一点集中。侵入後、全員全力で確保に移れ」


男の声が、低く響く。

狭く暗い空間に、懐中電灯の明かりがぼんやり浮かぶ。


「敵の位置は不明。室内構造は未確認。接敵後は判断を優先、ためらうな」


「了解」


「了解」


「了解」


各メンバーから短く返される声には、迷いがない。

誰もがこの瞬間のために準備してきた。


一度でも間違えば、命のやり取りになるかもしれない。

少しでも間違えば、自由を失うかもしれない。

でも、それがこの仕事だ。


リーダーの男は全員の顔を順に見た。

それぞれの目が、闇に鋭く光る。


「突入したら後戻りはできない。いいな?」


「死んでも・・・後悔はしない」


「オレも同じだ。あとのことは今は考えない」


「行こう、リーダー。もう時間だ」


男は静かに頷いた。


ヘッドセットを調整し、懐から一枚の地図を広げる。

戦略はシンプル。最短距離で突入し、迅速に制圧する。


4人は配置につき、呼吸を整える。


「突入まで・・・10秒前」


「5秒前、4、3、2、1・・・」


ドアを蹴破る。


「強盗だァァァァ!!!金を出せ!!!」

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