第5話
普段はぶりっ子である桃崎さん。
けれどその可愛さや美しさの前には誰も咎めるものは居ない。
けれど、やはり妬みや嫉妬からか。一定数良く思っていない人も居る。そんなごく一部の人の中には陰湿な嫌がらせに走る人も居るようで。
そして、時にそんな嫌がらせは一線を越えることもある。
―放課後、体育館裏―
『うぅ〜…先生から頼まれたからといって一人で引き受けなければ良かったです…重い〜…』
私は、今先生から任された体育祭の荷物を体育館に一人で持っていています。
運び終わったあと、体育館裏を通って帰ろうとすると、
「ウザいんだよ、このぶりっ子!」
誰かが、喧嘩しているのだろうか。
言い争う…というよりも一方的に罵る声が聞こえる。
そっと覗くと、そこには桃崎さんと、それを取り囲んで罵詈雑言を浴びせながら叩いたり蹴ったりする女の子達。
「そうよ!私の彼氏に色目使いやがって!」
「昔のアレ、バラすわよ!」
「昔の事バレたらちやほやされる生活もなくなっちゃうわね!」
「…そんなの、おすきに、ど〜ぞ…」
「ちっ!なんなのよこの女!ムカつくっ!」
「あ、そ〜だ!最近一緒に居る、あの陰キャちゃんがど〜なってもいいの〜?」
「え、ウケる、私もアンタと陰キャちゃんが二人でいるとこ、街で見た〜」
「いこいこ〜陰キャちゃん探そ〜」
此方に近づいて来た。咄嗟に隠れる。桃崎さんはボロボロだ。
というか…このままでは桃崎さんだけでなく私もやばいのでは…?
そんなことをぐるぐると考えていた矢先。
「それはっ!ちがうだろっ!」
何処にそんな力が残っているのか虐めていた女の子たちの主犯格の女の子の手を掴んだ。
「な、なによっ!いたっ…はなせっ!くそ!」
「だいじょぶ?!くそが!離しなさいよ!汚い手で触んな!」
「訂正しろ…!あのクソ陰キャには手ぇ出すな!」
凄い剣幕で睨みつけながらぎりぎりと手を締め付けていく。掴まれた手はみし、と音を立てて今にも折れそうなくらいだ。このまま折るのかと思い、咄嗟に止めに出ようとすると、桃崎さんはぱっ、と掴んでいた手を離した。
叶わないと悟ったのか、女の子達は
「ちっ!覚えてろよ!」
と捨て台詞を吐いて逃げていってしまった。
周りに誰もいないか確かめた後、ぼろぼろになって座り込んでいる桃崎さんのもとに走る。
『大丈夫ですかっ?!桃崎さん!』
「あぁ、うん…ありがと…」
『あぁ、血が…これ、よかったら使ってください』
ハンカチを差し出す。
「あ、ありがと…」
『そういえば、あの子たちが言ってた…昔のこと…ってなんですか?』
疑問に思っていた一つの問を桃崎さんに投げかける。
「あぁ…あれか…」
『あっ!話したくなかったら、話さなくても…!』
「…私、中学の時だけどさ、不良だったのよ」
『っ?!』
「そんでさ、万引きとかもしたし、殴り合いだってした。…親がさ、仕事で忙しかったから寂しかったの」
そのまま、桃崎さんは続ける。
「高校に入って、こうやってかわいこぶってたら、自然と人が集まるし。多少頭が悪くても、人に嫌われないじゃない。」
「だけど、皆私が優しくて可愛いとこだけしか好きじゃない…けど、遥は素の私とも仲良くしてくれた。…ありがと。」
―――――――――――――――――――――
体調不良で投稿が遅れました、すみません
ぶりっ子な桃崎さん、私にだけなぜかデレ多めのツンデレです。 くらげねこ @nekohiyoko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ぶりっ子な桃崎さん、私にだけなぜかデレ多めのツンデレです。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます