第4話

「はぁ、あーいうイベントも楽しかったわね、また誘ってよ」

『はいっ!勿論!』

イベントが楽しかったのか、ご機嫌そうな桃崎さん。いつも皆に見せるような幼いような、色気のあるような、可愛らしい笑顔をしている。


「あ、見て、こんな所に服屋…行こ!」

『え、こ、こんな、き、きらきら、して、むりですよ!』

「拒否権ないから!ほら、しかたな〜く付き合ってあげるわよ!」


ぐいぐいと手を引っ張り、キラキラしたお洒落な洋服屋に半ば強制的に入店する。

少し遅い時間だからか、店には人が少なく、がらんとしている。


「ほら、あんたはブルベ夏だから青色とか淡い色が似合うから…ほら、これとこれ、試着室でさっさと着替えるっ!」

『ひゃ、ひゃいっ!』


よく分からない呪文に似た事をすらすらと並べ、試着室に押し込まれる。いつもは着ないようなお洒落な服を着る。


『う、これ、似合います…かね?』

「うん、似合う。何時もより…いや、マシってだけだから!思い上がらないでよね!」


そう言いながらも、似合っていると褒めてくれました。

とっても優しくて桃崎さんの事、ますます推しちゃいます。


『あ、お金…』

「いいよ、今日は楽しかった、此処は私に払わせて」

『でも…』

「いいから、」

また、奢られてしまいました…

けど、今日は宣伝をしてくれたので、収益を山分けしようと思います!


お店の外に出て、収益を分けようとすると、

「あ〜、いいわ、今度またイベントがあった時に貰うわ、今日は楽しかった。ありがとう!」

やんわりと断られてしまった。

申し訳ない…


『じゃ、じゃあ!また今度一緒に出かける時に奢るのでっ!ら、ライン交換しませんかっ?!』

「…しょうがないわね」

にこ、と微笑み、ラインを交換してくれました。


―家―

帰ってから、ラインになんて送ろうか悩む。

此処は無難にスタンプ…いや、メッセージ、いや、此方からは失礼ですかね…?


ぐるぐると、悩む私を無視して、スマホに着信が。


見ると、可愛らしい猫がぺこり、とお辞儀しているスタンプが桃崎さんから送られてきていた。


私にはツンツンした態度だけれども、皆には可愛い態度なので、皆とラインする時はこのスタンプをよく使っているのだろうか。

少しギャップで頬がほころんでしまいます。


私もスタンプを送ることにし、悩んだ末に、

『よ、よし、さん、に、いちで送るぞ…さん…に…いち…送信っ!』


私が送ったスタンプは、初期設定でダウンロードされる、無料のスタンプ。

あまりラインするような友達がいないので、課金はあまりしていないのだ。

まぁ、推しのスタンプならあるが…あまり使うのには適さないかも、と思ったのです。


すると直ぐに返信が返ってきた。


「また誘えよ!おやすみ!」


短文だが、桃崎さんの優しさとツンデレが詰まったラインにきゅんが止まらなくなってしまいました。

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