第3話

「ねね、きょうね!こぉ〜んなにおっきい、ねこちゃんがいたの!♡すごかったんだよ!」


今日も桃崎さんが可愛らしい声音で色んな人に話している。

流石桃崎さん。とっても可愛い! 


そういえば、突然ですが、私は漫画を描いているんです。

そして明日からの連休で、イベントで売ってみるんです!

自慢じゃないですが、インターネットで描いた漫画をアップしてみたら、結構賞賛されたんです!

初めての大きいイベント…楽しみです!


実はこのイベントで使う漫画の主人公は、桃崎さんをモデルにしているんです。


ふふ、楽しみですね…


―イベント―

とてもワクワクしながら、漫画やアクリルスタンドなどのグッズを並べて、いざ開始時間に。


沢山の人が入ってきます。

と、そこに一人、とっても目立つ美人さんが。

…私服だから分からなかったですが、よく見ると桃崎さんじゃないですか!


他にお洒落な人がいない訳ではないですが、それでも、圧倒的なキラキラオーラ。


そしてあちらも此方に気付いたようです。


「あ、はるかじゃない!ふ〜ん、こんなのを売ってるのね」

漫画を一冊手に取り、ぱらぱらとページをめくる。

すると、

「ん?これって…」


あ…ば、ばれてしまいました…

とってもピンチです…


「ふ〜ん…これ、私?」

『あっ、は、はい…あ、すみませ…』

「謝んないでよ、別に起こってるわけじゃないし」

『え、い、良いんですか…?!』

「…そ〜の〜か〜わ〜り!申し訳ないと思ってんなら私に付き合ってよね!」

『そ、そんな…!いいんですかっ!』

「ほら、早く行きたいんだから、売り切っちゃお、これ、面白いから…わ、私が好きとかじゃないからっ!」

『あ、ありがとうございます…』

「じゃ、私が宣伝するから、アンタは準備とかしててよ」


宣伝役を買って出てくれた…

しかも私の漫画を褒めてくれた…嬉しいです…!


―数時間後―

『やった!ほとんど売れましたよ!これも桃崎さんのお陰です!』

「ふん…当然でしょ…けど、あんたの漫画が面白かったから…てのもあるから」

『あ、ありがとうございます』

「ふ…じゃあ、私にもこの本売ってくれる?」

『勿論!ありがとうございます!』


無事、イベントは楽しく終わりました。

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