プロローグの時点で、世界観への引き込みがとても強い作品です。
文鳥の先生や小狐、河童、異形の子供たちが当たり前のように存在する町。
その不思議さが日常として描かれているからこそ、主人公の家に漂う閉塞感や、隠された姉の存在がより不気味に際立っています。
特に印象的だったのは、主人公が姉を大切に思う気持ちです。
外の世界を知らない姉に、自分の見たものや感じたことを伝えようとする優しさが切なく、その一方で家族の中にある歪みが静かに迫ってくるため、読んでいて胸が締めつけられました。
異形がいる世界なのに、本当に怖いのは怪物ではなく、人の心や家庭の中にあるものなのかもしれない。
そんな余韻を残すプロローグでした。
ここから姉弟の関係がどう変化していくのか、入日町や久遠館にどんな秘密が隠されているのか、とても気になります。
不穏で切なく、続きが読みたくなる作品です。