クラスで浮いてる天才オタクが、褐色ギャルに家バレして巨大ロボのパイロットにされました 〜物理の再テストを口実に押しかけてきた彼女は、なぜか世界を救うことになったようです〜
チョイス
プロローグ
西暦20XX年。
世界の空に、時折“黒い影”が浮かぶようになっていた。
政府は沈黙し、報道は歯切れが悪い。ネットでは陰謀論やUFO説が飛び交ったが、それでも日々は続いた。
街に人があふれ、学校は開き、若者たちは恋をして、テストに追われていた。
そんな世界の片隅に、古町 蓮(こまち・れん)はいた。
高校二年生。長めの前髪で目元を隠し、授業中もノートの余白に数式や回路図ばかり描いている、クラスで浮いた存在。友達はおらず、昼休みはイヤホンをして机に伏して寝ている。否、寝たふりをしている。彼は音と視界を遮断して常に頭の中で計算をしているのだ。
彼の正体は、莫大な遺産と個人研究所を相続した、正真正銘の“天才オタク”だった。
両親は、かつて国の極秘開発に関わっていた物理学者とエンジニアだった。
しかし十年前、両親は同時に失踪。研究所には一言の説明も残されておらず、関係者たちの口も閉ざされたままだった。
蓮はそれ以来、表ではただの高校生として振る舞いながら、裏では両親の研究データと設計図をもとに“あるもの”を作っていた。
全高48.5メートル。熱エネルギー偏向装甲。未完成の慣性制御装置。
コードネーム《MRC-01 ソルヴェイグ》。
――対ギアビースト戦術試作機。
ギアビースト。
それは突如出現し、各国の辺境に“試すように”姿を現しては消える、巨大な謎の機械生命体。
表向きには事故や災害として処理されていたが、蓮にはわかっていた。
これは、世界の“終わりの前兆”だ。
そして、両親はそれを止めるために動いていた。彼らの身に何があったのかはわからないが、その活動は止まってしまっている。だから、自分がやる。誰に期待されてなくても。
――ただ、ひとりで。
そんな彼に、ある日、話しかけた少女がいた。
星崎みらい。
日焼けした肌にブリーチのかかった髪、クラスの中心にいるギャル。学校の空気のように軽やかに人と接し、無邪気な笑顔で誰の懐にも入り込む“太陽みたいな子”。
星崎は蓮のイヤホンを奪い取ると、ねぇ……起きて……と彼に囁いた。妖艶な声に思わず飛び上がる蓮。髪をかき分け正面を向くと、豊満な褐色の胸元を大きく開けたワイシャツ、金色の小ぶりなネックレス、そして、金より白に近い長い髪の毛が視界に入った。
「おはよー」
みらいの八重歯が輝く。
「……ねぇ、アンタって、物理とか得意なんでしょ?」
その日、彼女は物理の再試験に頭を抱えていた。
赤点常習者の彼女に残された選択肢は、ほとんどなかった。
「アタシ……このままだとあのエロ教師の松田にこの純情な操を差し出すしかないかも……」
勉強すればいいんだよ、と心の中でツッコみつつ、あながちそんな破廉恥な展開もあり得るのかなと蓮はニヤニヤした。
そして――
「ということで物理教えて? アンタのパパママ頭いいんでしょ?アンタも何とかオリンピックとか出てるんでしょ?教えてよ〜!ねぇ、今日行ってもいい?」
「アンタのお・う・ち」
「ちょっとぐらいなら……見せてあげても……いいよ……?」
オタクをからかうその言葉が、世界を変える最初の“誤作動”だった。
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オタクに優しいギャル×巨大ロボット小説です。
プロローグは三人称視点で説明しましたが第一話からは古町蓮視点で物語が進みます。
ひょんなことから巨大ロボットの操縦者となったギャルとそれを支える天才オタクのSFラブコメです。世界の命運はギャルに託されました。
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