流行りの探偵ブレイク

ふわふわうさぎ

第1話 ヨモギの雫盗難事件

 朝日が眩しくて起きた。何日も仕事をし続けたので、今日は平日かと思ったが、すぐにゴールデンウイークの初日ということが分かり、笑みを浮かべた。

申し遅れたが、主人公は一之瀬いちのせ 來斗らいと。元刑事だがごく普通の社会人(22歳)…な訳はないことは勘づいているだろう。実は來斗、中身は天才中学生なのだ。とあることから、社会人のふりをしながら、事件現場に顔を出して解決に導いてきた。ちなみに絶対音感がある。

今日も來斗は、事件に遭遇する————

「おはよー、今日はヨモギのしずくが盗まれる予定の日だからしっかりしてね」

この人は二階堂にかいどう ゆめ。同じく社会人のふりをした中学生で、同級生だ。運動、中でもアクロバットが得意で、四六時中特徴的な寝ぐせがある。そして、來斗の彼女、なのかもしれない。

「怪盗が狙っているのはこの『ヨモギの雫』。珍しくて大きい翡翠だ。」

「でも翡翠って、波打ち際とかによくあるんでしょ?」

「ああ。ただ、大きいものはほとんどないし、何回も拾おうとしても翡翠が見つからないこともある。ヨモギの雫は、ヨモギの葉の近くに翡翠が落ちていたから、そう名付けられたらしい。そろそろ行こうか」

「うん」

來斗と夢は、白いキャップに黒い眼鏡、スーツで出かけた。

「よく来てくれました。いつも探偵たちにはお世話になっています」

この人は石野川三郎、53歳。警部で、警察たちから尊敬されている。

「ヨモギの雫についてですが、怪盗やつから予告状が届いているんです」

來斗は、三郎の部下である警察がくれた予告状を見た。

『 大野財閥殿

 

 この暗号を手掛かりに、私がヨモギの雫を盗むのを

 阻止できるでしょうか。もちろんできないでしょう。

 さぁ、ヨモギの葉がひらひら舞う時にお会いしましょう。

                   怪盗紳士ナンバー』

そこに、大野さんが来た。

「私のおじいちゃんが財閥をやっていて、ヨモギの雫を買ったんです。盗まれたら、莫大な損をしてしまいます!怪盗紳士ナンバーを止めてください!」

「か、怪盗紳士ナンバー様!?」

「夢…怪盗紳士ナンバーのファンなのかよ…捕まえなくてもいいから、ヨモギの雫だけは守るんだぞ!」

「わかったよぉ…石野川さん、警備はどうなってるんですか?」

「安心です。もうこれ以上蟻一匹出入りできませんよぉ!」

その時、放送が流れた。

「それはどうかな?」

「きゃああ♡怪盗紳士ナンバー様ぁ♡」

「この音声は録音されています。誰かに変装しているかもしれないし、隠れているかもしれない。1分以内に見つけて、ヨモギの雫を守るんだなっ!」

「やっやっぱりイケボぉ~」

來斗は夢をなんとか説得して、怪盗紳士ナンバーを探すことにした。

「三郎さん」

「……どうか、しましたか?」

「もう怪盗紳士ナンバーは、見つかりましたよ!」

夢、三郎、部下の警察たち、大野さんなどが次々と集まっていく。

「怪盗紳士ナンバーが変装しているのはほかでもありません。あなたです!」

そう言って來斗は石野川三郎をした。

「えっ、そ、そんな…」

「まずはその敬語。警察は探偵をそこまで信用しないはずです。なぜかというと、警察は何が何でも証拠を集めて真犯人を捕まえたいですよね。責任もあります。探偵が収集した証拠が、裁判で証拠として採用されるか限りません。 」

「いやぁ、頭のいい方と聞いて尊敬しているので…」

「続いて警察の道具。警察手帳です。警察であることを示すには、警察手帳を見せなければいけないのに、あなたは見せなかった。そして一番の証拠は、『三郎さん』と呼んだ時、すぐに振り向けなかった。偽名を使っている時によくあることです。さぁ正体を見せなさい、怪盗紳士ナンバー!」

マスクをはらりと剥がして現れたのは、黒いタキシード姿の怪盗紳士ナンバーだった…!不敵な笑みを浮かべて立っている。

「よくも推理でトリックを見破った、一之瀬來斗。ただ、捕まえられるかは別だ!」

その時、本物の石野川三郎が穴から抜け出して言った。

「つかまえろぉぉ!」

ワァーッと警察が飛び込むが、怪盗紳士ナンバーはシュタッと飛び、出口から逃げ出した。放送に気を取られている間に、カギを盗んで出口を開けたのだ。

「次こそは捕まえてやる!怪盗紳士ナンバー!」

「フッ…その時も逃げてやる。一之瀬來斗、さらばだ!」

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