西村匠は、目が覚めたら見知らぬ森の中にいた。
目の前には魔法使い風の美女・レトミア。そして足元には、生き物の方のおにぎり。
実はこの西村、大の異世界嫌いである。
ご都合主義、転移要素、謎のモンスター、そしてドラゴンがくっついたデザインの妙な剣!
この世界の神様的な奴のセンスを疑う。
何が何でも、「異世界」から「元の世界」に帰るんだ。
そのためには……。
隣町のダンジョンに行くしかない。
人工的なモンスターの巣窟に。
幸いにも、異世界には魔法も備わっていた。
都合の悪いところをごまかしてくれる、万能な魔法がずらりと並ぶ。
いちばん大事な「元の世界に帰る魔法」はないけれど。
西村はダンジョンの入口まで伸びる露天を抜け、愉快な仲間たちと冒険に出るが……。
異世界アンチ男子が歩む、アンチ異世界の冒険譚。ここに開幕!!
読み終えた後、「だよねえ」としみじみ納得させられます。
「異世界」というものを嫌がり、「元の世界」に帰りたいと願う主人公。
異世界には魔法があるし、モンスターもある。その中で「冒険」をしなければならない。
西村匠と名乗る主人公の「俺」はレトミアという女性と共にダンジョンに入ることになるが……。
最終的に、「なぜそんなに異世界が嫌いなのか」という実際の理由が語られ、「たしかに!」と共感すること間違いなし。
既存の「異世界モノ」というのは、基本的に;「恵まれた状態での転生・転移」が基本となっています。つまりは「ガチャで大当たりをした状態」であり、「他者に対する不公平」が容認された状態でもあります。
自分が勝ち組になっていれば、その世界は良いものと考えていいのか。勝ち組の誰かがうまく行っているだけの世界が、果たして「元の世界」よりもいい世界だと言えるのか。
世の中に氾濫している「異世界もの」へのアンチテーゼが示され、色々と考えさせられる作品でした。