第23話

その3




律也が二人の女性に目をやって軽く会釈すると、一方の女性がユウトの肘をつついていた。

ちょっと意地悪そうな微笑を浮かべて…。

ユウトはやや困惑した体だったが、例の笑顔で女性二人を紹介した。



「ああ、兄貴のカノジョの友達でチヅルさんとヨーコさん。…そんで、彼は同級生の河合律也…」



「初めまして。河合です」



「どーも」



「こんばんわ。でも、河合君の彼女もかわいらしいわね」



すかさず背の低い方の女性からは何ともな微笑を浮かべて、意味深なフリが返ってきた。

これをストレートに受けた律也は小っちゃいカノジョに言葉を投げた。



「カオリちゃん、お姉さんたちにご挨拶できるかな」



「うん、できる。はじめまして、カオリでーす!」



「まあ、お利口さんね…」



「ほんと、かわいい。綿あめおいしい?」



さすが年上の女性二人は、早くもすぐにカオリちゃんと談笑であった。

そんな様子を確認したあと、ユウトは律也に小声で話かけた。



***



「ちょっと、そこで話せるかな?」



「ああ、いいよ。…カオリちゃん、ちょっとお兄ちゃん、友達とお話してくるからね」



「じゃあ、カオリちゃん、お姉さん二人と待ってようね」



すかさず背の高い方の女性がしゃがんで、カオリちゃんの頭を撫でながら相槌を入れた。



「うん。お兄ちゃん、ここで私待ってるよ」



ここで律也は、ユウトと露店の裏側に移動した…。

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