第3話
その3
以来…、律也の脳裏には、”彼”の浅黒い顔からこぼれていたさわやかな表情が瞼に焼きついて離れなかった…。
律也は、中学進学後程なくして、違う小学校出身のクラスメートからその学校の卒業アルバムを見る機会に恵まれた。
80人近い顔の群れから、飛び出す絵本のように、”彼”は律男の目に飛びこんできた。
名前は…、青島ユウト。
律也は喰い入るように、その証明写真サイズのユウトを見つめた。
この時の胸の高鳴り…。
彼にとっては一生忘れることはないであろう…。
***
律也の中学は3クラスで、すべて2階の同フロアということで、ローカを出れば、常に他クラスの生徒とはすれ違う。
言わば、意中のユウトとも、いつ接触があってもおかしくない。
ちなみに、律也は1組、ユウトが2組であった。
通常は友だちになりたい場合、単純に友達通しの伝手を介してという方策が手っ取り早い。
だが、律也はそういったカタチを踏まないで、ユウトとはトモダチになりたかったのだ。
そしてそのチャンスは割と早期に到来する…。
それは、学年一斉の健康診断の場であった。
***
ここで律也は一計を思い立つ。
それは、1組から始まる検診に、あえて遅れるというものだった。
通常なら男子と女子が別れ、1組から順番に出席番号順と言う流れになるだろうから、律也の予測では、10人くらい先を越させて健診会場に入れば、2組の彼とは接点が持てるかもしれないという算段だった。
もし、接触するタイミングに恵まれなくとも、同じ教室内で居合わせられれば、ユウトのハダカが見れる…。
向こうからも自分のパンツ一丁姿を拝んでもらえるかもしれない…。
そんな小恥ずかしい純な期待感も抱いていたのだった。
そして、4月中旬…、健診当日がやってきた…。
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