野郎共が島を作ろうとしたらしいです

199×年。某月。都内のテレビ局にて。

バンド野郎4人組がひょんな事から、島を作ることになりました。

｢リーダー！どうするんすか！俺達、1人多分やらかして抜けたって時に！島なんか悠長に作ろうとしたら今度は…！！」

国分川君が慌てた様にリーダーの俺、城島（しろしま）に近寄ってきた。

国分川君の今の泣きたい気持ちは分かる、十分に分かる。

俺には分かる。

あの「山田さん大事件（山田メンバーやらかし大スキャンダル事件）」以降、俺達の活動は下火だ。

カラオケやＣＤも出せない上、ツアーも禁止…そこに来て。

｢リイイイイイダアアアアアアアア！！やっっっぱり、睨んだ通りだ！事務所変更（契約解除）を、先に俺達からYou〇ubeでアップして正解だぜええええ！！！これ島ああああああ！！作るぜええええ！！…で、松田は？｣

長山智也。

五月蝿い、とかく五月蝿い。

「お前テレビの前じゃそんなキャラじゃないじゃん。クール野郎じゃん、もっと」

だから俺から答えた。

松田は、ああ見えて割と繊細（パトラッシュの話でガチ泣きするような男）だから、絶対気にしてる、多分エゴサもしてるだろうなー。

｢あー、事務所のやらかし（シャレにならないレベルの事故スキャンダル報道）聞いて、トイレ引きこもってる…｣

｢かああああ！なんじゃそりゃ？ちょっと松田をトイレから引きずり出してくるから、国分川あ！お前、ちょっと手伝え！いつもなら山口にやらせたけどアイツが馬鹿（ロリコン疑い）やらかすからよ！！手ーつーだーえ！｣

まー、俺らなバンドってこんな感じ。 毎日がギャアギャアしてる野郎4人が、テレビの企画とやらで。

｢島を君達には一から作ってもらいます。もちろん、自給自足みたいな感じの企画だから！！プロジェクト○ですか！？って疑われるみたいに！！大丈夫！！師匠（紀元前には皆やってた事だからって引き受けた爺2名）がいるから大丈夫大丈夫！！｣

だとよ。

…勘弁してくれや。

俺達、バンドマンだぞ本職！！

やったことねーわ！！んな生活！！

それから30数年後、2020年代。

日本、無人島の何処か。

「って、最初本気で思ってたけど。こーれが、やりだしたらまあ、面白いの何の！！！ホラ、これ見てよ大根？デカくない？でもね～、まだなんだよね。まだもうちょっと太らせたいね〜。何かね、荒地開墾から始めた島だからさあ…愛着湧いちゃってさあ。帰りたくねえなーって。東京（元いた場所）に」

リーダー城島のニッコニコした笑顔と対照的にキョトンとした顔で番組ADとスタッフが突っ立っているのも、無理もない。

彼等四人は、本職バンドマンの癖にキッチンカーやらショベルカーを乗り回すは、なんだったら鍋やらまな板は、手作りしてるわの

、本職何処行ったバンドマンになっていた。

しかも、あの「繊細だったはずの松田君」がバンド名を変えたらと堂々と自分から前にでてきて、言ってきたので番組スタッフらが押し寄せてきた次第。

先ず、ロック気質な長山は暇があったからと合間にダンプと危険物取扱任、調理師免許取得。終いには何故か小麦を１から作れてる。

お前イタリア行けよ。

国分川は生き物が大好き過ぎて通信教育と僅かなプライベート時間を縫って獣医免許を取得。

これで畜産の出産の際に待ったを出された時に国分川が超絶なキラッキラなドヤ顔で出してきたから、超助かった。

アンタの前世は神（イエス！高須キリスト様）か。

お前、就職困らないじゃん。

「城島（しろしま）リーダー、言われた通りの場所に発破作業仕掛けましたあっ！！無事、完了です！後は象のパオ美ちゃんの出産に師匠が立ち会い…」

繊細なはずの長山は何と発破資格に一級建築士、玉掛け土木工事のスペシャリストになっていた。

いやお前ら家まで作る気かよ。

てか象！！？日本で象飼っていいの？？

一時期番組クロス企画で象預かったけど！え？何してんのこの人達？

象居るとかもう、動物〇じゃん。

相葉くん泣くじゃん、やめたげて…。

国分川君の獣医免許免許無双ですね、分かります。

でも、なんでまた象ですか？と言うスタッフ。

「え？だってあの馬鹿強いローマ人黙らせるには象がいいって、知りません？世界の常識ですよ？もしかして…新人さん？」

ADはただ、頷くしかなかった。

ひょこっとパオ美の状態を見に来た国分川の立ち振舞は最早ベテランの獣医。

彼はこれまで、馬、牛、羊、等のあらゆる要諦属のお産を取り上げてきた。

中には死産もいた。初めての死産に行き当たった時、母が子を、離さないので困ってしまった時に。

老年の師匠は言った。

「これが、母も子も命懸けということだ」

「命は、尊い。だから…大事にせぇよ。」

国分川太一は、あの師匠は絶対何か島起こし以上の事をしたんじゃないかと、感じた瞬間だった。

リーダーはにこやかに畑を案内した。

「東〇ドーム20個分ですね。城壁は完成したんで、治水工事に着手したんですが、中々できなくて………ダムとため池が」

ダム！？しかも待って畑が東〇20個分とかもうおかしい！！え！？この島そんなに大きくも無いけど小さくもないよ？！

リーダー！？あんた何してんの？！

「へ？だって南西方面からもし、象が攻めてきたら、食いもんが無くなるじゃないすか！？！だから水と食糧庫と土木で硬めてるんですよ！？」

どういう事！？

農業なんか、したことがない。

そういった昔、師匠が言った

「１から私が教えてあげよう。何…あの象が来るんじゃないかと怯えるよりは、安心して君達にノウハウを伝授できる。…この国の食べ物と水、資源等を支える農業は貴重な資源だ！！君達からそれを発信しないでどうする！！！あの象に乗った奴がいい例だ！！馬鹿みたいに強奪しまくるだけではないか！！今ここで、我々は一致団結し、奴に今度こそ思い知らせる時ではないか！！」

リーダー城島の心に、老年の師匠の熱い弁が刺さった。

やっていない内から何を甘えていたのだろう。

素人目線で、何を甘ったれていたのだろう、と！！

あの…と言いかけた、ADに城島はいう。

「素人は……黙っとれ」

城島は農業を1から猛勉強した。

資格土壌医検定、農業機器師、トラクターにコンバインは当たり前に乗れる。

師匠にも褒められた。

トマトとアル・デンテ用の小麦栽培がうまくいった時は、特にべた褒めだった。

バンドマンの名前は「TOKYO」。

皆よく知る、あの有名なバンドマンである。

NNK発信　島起こしドキュメンタリー番組、プロジェクトX（クロス）。

夜21:00から地上波、BS同時放送、決定。

ー熱い男達による島起こしの話を見逃すなー

OPテーマ「宙船」中条みゆき

EDテーマ「地上の星」中条みゆき