もう一度、繋がれたら

コウノトリ🐣

繋がりからのログアウト

 L◯NEのデータが消えた。寝ぼけていた。パスワードを忘れたから再設定しようと思っただけだった。


『このアカウントであっていますか?』


 そう表示された画面に私は手を滑らせて『私のアカウントではありません』そんな文言の上に指が置かれていた。その瞬間に世界が崩れる音を聞いた。

 消えた。全てが……今までの繋がりが消えた。メモも消えた。バイト先のLI◯Eも消えた。手を取り合う人々の輪から追い出されたみたいだった。


 焦って、慌てて、狼狽して。

 復旧しようとしても出てくるのは無慈悲な『アカウントの情報がありません』そんな文字。信じられなくて何度も何回も復旧しようとした。


 もう疲れてそのままベッドにダイブ。無理やり寝た後に感じたのはもうこれで良かったかもしれない。そんな感傷だった。私に定期的に連絡する友達はいない。バイト先に行って交換し直して家族とも交換すれば、擬似復旧はできる。


 唯一、復旧できないのは初恋相手の連絡先だけ。

 奇跡的に手に入れることができた。高校のクラス◯INEに入るためだけに交換したLIN◯。臆病で一度も自分から送れなかった連絡先。繋がれているだけで嬉しかった。それと同時に私の想いに苦しめられた。臆病な私はその連絡先を使うことができなかった。


 だから、良かった。あなたの連絡先が消えて、膨れ上がった想いに苦しめられることはもうないよ。感じている喪失感は……分からない。あってもなくても連絡できないことには変わりないのに。

 あなたとの繋がりが途絶えることが心苦しく思うよ。もし、また繋がれたら――それはきっと運命だよね。その時は私もちょっとは勇気を持っていられるかな?


 元に戻せない。そうなって気づくあなたの大きさに苦しむことになるかもね。でも、これで、きっと良かったんだ……。


「だからもう、泣かないでよ」


 そんなんじゃ、いつまで経っても臆病なのは治らないよ。

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もう一度、繋がれたら コウノトリ🐣 @hishutoria

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