第7話

口論

その1/口論



「ジュリ…、この際、あなたには確かめたいことがあるの。聞いていいかしら?」


「別にいいけど、何なの?」


「…志田君はあなたが誘惑してモノにした。そうよね?」


「はー?何よ、いきなり。志田君のことは承知してるはずでしょ?彼から私にいい寄って来たのよ。カン違いしなしでくれるかな」


「ううん、違うわ。あなた、推進企画で公言してたそうじゃない。私の同期で寿退社は絶対させない。許さない。そんなもんは私が潰すって」


「だから!…アユムと志田君を私が別れさせたって言うの?」


ジュリは机をバンッと手で叩いて勢いよく立ちあがった。

その言いぶりはまさに逆ギレだった。



...



しかし、アユムはまだ冷静を保っていた。


「そうよ。彼ははっきり言ってたわ。推進企画室の何人かからも直に聞いてるよ。今更どうのってことはないけど、正直に認めて欲しいの」


「…仮に、結婚までの話が出てたんなら、愛しの彼をそう簡単に失うかしら?結局は、その程度の仲だったってことでしょ。私から言わせれば言いがかりね」


アユムを食い入るように睨んでいたジュリは、さらに激しい口調で押し返した。


「私たちは順調にいってたのよ。あなた、私みたいな貧弱な体の女と本気で一生満足できるっのかて、彼にそう言ったんですってね!それで、私を一回抱いてみればよくわかるはずだって。なんて愚劣なの、あなたって人は!」


ここでアユムは一気に感情が爆発した。

両目からは悔し涙が溢れだし、同時に目の前の女への憎悪が、めらめらと湧き出てくるのを実感できるほどだった。






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