第7話
口論
その1/口論
「ジュリ…、この際、あなたには確かめたいことがあるの。聞いていいかしら?」
「別にいいけど、何なの?」
「…志田君はあなたが誘惑してモノにした。そうよね?」
「はー?何よ、いきなり。志田君のことは承知してるはずでしょ?彼から私にいい寄って来たのよ。カン違いしなしでくれるかな」
「ううん、違うわ。あなた、推進企画で公言してたそうじゃない。私の同期で寿退社は絶対させない。許さない。そんなもんは私が潰すって」
「だから!…アユムと志田君を私が別れさせたって言うの?」
ジュリは机をバンッと手で叩いて勢いよく立ちあがった。
その言いぶりはまさに逆ギレだった。
...
しかし、アユムはまだ冷静を保っていた。
「そうよ。彼ははっきり言ってたわ。推進企画室の何人かからも直に聞いてるよ。今更どうのってことはないけど、正直に認めて欲しいの」
「…仮に、結婚までの話が出てたんなら、愛しの彼をそう簡単に失うかしら?結局は、その程度の仲だったってことでしょ。私から言わせれば言いがかりね」
アユムを食い入るように睨んでいたジュリは、さらに激しい口調で押し返した。
「私たちは順調にいってたのよ。あなた、私みたいな貧弱な体の女と本気で一生満足できるっのかて、彼にそう言ったんですってね!それで、私を一回抱いてみればよくわかるはずだって。なんて愚劣なの、あなたって人は!」
ここでアユムは一気に感情が爆発した。
両目からは悔し涙が溢れだし、同時に目の前の女への憎悪が、めらめらと湧き出てくるのを実感できるほどだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます