第7話 少年

そこにいたのは誰なのか。後にして思えば謎が深まる出来事だった。


何があったか・・・・・・   ・・・・・・


 お酒の飲み過ぎでジンはトイレがしたかった。だけど、ここには当然トイレは無いので、そこら辺にある木にすることにした。


 邪魔にならないように、ちょっと遠くに移動し、木にかけていた。そこまではいい。


ジンがトイレをした位置からほんの5メートルくらい先に少年がいる。暗くて良く見えないはずなのに、ハッキリと見える。


 確かにいろいろとおかしい。こんな森の奥に同じような境遇の人がいる。その少年は何かわからない光る剣を持っている。でも問題はそこじゃない。


 人がいたって別にいい。だけどこの少年の格好がこの国の服を着いなかった。

この少年は俺たちが見慣れた俺たちの国の服を着ていた。


当たり前に考えればおかしい。いつもならこのおかしな状況に気づくはずのジンだが、酔っていたので気づけなかった。


 今いる場所は、俺たちのいた国と違う。その事実だけは分かる。だからこそ同じ境遇の人間がいることに驚きもあるし、同時に安心感もあった。


 だが、ジンはミスった。酔っていたからこそ最初にかける言葉を間違えた。


 「おい兄ちゃんいいもん持ってんじゃねえか。それおいてけよ、クソガキ」


 喧嘩口調だった。それを聞いた少年は困っていた。何が起きているか分かっていない、そんな感じだ。そしたらジンが続けて、


 「なんだなんだ、力ずくで奪えってか、あぁ」


 青く光る剣が貰えなかったから段々と不機嫌になった。完全に非はこちらにある。


 それを踏まえて少年はこの人が酔っているとわかった。


なので頭がおかしくて当然だと思い、心配の声をかけた。


 「あの、大丈夫ですか。相当飲んでいるみたいなんですけど」


 この少年は優しかった。見ず知らずの人に声をかけ、その人の体調を心配する思いやりがある人だった。


 それでも思い道理にことが進まないことに更にジンは機嫌が悪くなった。


 「いいからよこせってんだろ、よこせーーーー」


 そう言ってジンは少年に近づいてその剣を奪おうとした。


そうしたら、


 「やめてくださいよ、いい加減にしてください」 


 少年はもうやめて欲しいと思いながらも必死に剣を守った。


手を使って相手との距離を取ろうと少し力を入れてジンの胸あたりを軽くどついた。


 その時だった、ジンが20メートルくらい吹っ飛んで焚火の近くにまでいった。


 少年は何が起きたかわからなかった。言葉道理軽くしか押していない。


なのになんであんなに吹っ飛んだ。飛ばした本人が一番驚いていた。


 (助けて、お願い)


 聞いたことのない声が頭の中に響いた。


 「またこの声か、いったいどこにいいるんだ」


 返答はない。ただ一方的に聞こえるだけかもしれない。


仕方がないと思い闇雲に探そうと決心した。さっきの吹っ飛ばした人、ジンには申しはけないと思い、心の中で誤った。


 ・・・・・    ・・・・・・   ・・・・・・


 吹っ飛ばされたジンは、


 「ほれほれもっと飲め飲め」


 「一気、一気、もう一杯」


 そんな感じで盛り上がっているところに何かが吹っ飛んできた。


よく見ると、吹っ飛んできたのがジンだった。俺は何が起きたかわからず一気に酔いが覚めた。


 「おい、何があった、おい」


 完全に気絶していた。これじゃ何があったか聞くのは無理だと判断して、


吹っ飛んできた方を見た。


 そしたらそこには黒髪黒目の、???を着ている少年が立っていた。


だけどこちらは見ていない。彼がジンを吹っ飛ばしたのか?


 それは考えられなかった。あの体格でジンを20メートルも吹っ飛ばすなんて


無理だと思うからだ。だけどそこには少年しかいなかった。


 なのでそう考えた。


なので取り合えず声をかけようと思う


 「おい、君は」


 最後までセリフを言い終える前に荷台の方に走って行ってしまった。


 何が何だか分からなくなってきた。なので取り合えず荷台の方に行こうとした時。何かが周りを囲んだ。何に囲まれた?


そんなことを考える暇もないくらいにそれは襲いかかってきた。


 「警察だ!武器を持たずにおとなしく四つん這いになれ!」


 そう言って俺たちは抵抗することもできずに捕まった。

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