第4話 約束が本当かどうか

 そもそもヘルメースという存在は、人間はあまり好きではない。


 当然彼女にも好き嫌い、相性の会う合わないがある。


 今まであってきた人たちは、みんながみんな善意の塊だった。


 4回目に話した人なら、あたしが知りたいことをただひたすらに


 話してくれた。向こうから質問が来ることもない。


 会話でその本人の素性がわかることはないが、ある程度は理解することが出来る。


 正しいだけでは生きていくことはできない。時には嘘も必要だし、騙される事もる。経験が成長に繋がる。だからこそ、歳相応の感じというか態度、仕草が必ずしもある。


 だからこそ、あの二人から感じる態度は不気味さを感じた。


 笑っているようで笑っていない。楽しそうでそうで楽しんでいない。


 まるで接待されている気分なのが正直なとこだ。


 それに不思議さは感じない。目上に対する対応、会話の仕方、相手を気持ちよくさせる喋り方、どれを取ってしても満点である。だからこそまるで20代前半には見えなかった。


 だからこそあの二人はやりにくく、会話が楽しかった。謎が多いからだ。


 1つ失敗したのが最初にあった時のキャラだ。


 話やすいように少し猫をかぶったら、あのキャラを維持し続けないといけなかった


 ので、


 あいつらには、不気味でありながら目を見張る何かがある。


 だからこそ少し見てみたくなった。だから彼女は、


(マーキングはさせてもらったし、今後に期待だね)


 そして彼女はまた、泉の中に消えた。


 ・・・・・・・       ・・・・・・・       ・・・・・・・


 今できることは、人がいると言っていたとこに


 行き、誰でもいいから会話をすることだ。そのために道中でもできることをする。


 「で、これを覚えろってか」


 「くれただけでもまた助かってるんだ、文句は言えないな」


 「まあいいさ、他にすることもないなら暇つぶしにはなる」


 そういって、ジンは紙を見始めた。


 何が書いてあるか、それはこの国の言葉である。


 初めて会話した時は、言葉が通じたし、この国でも通じるのは知った。


 だけど、文字に関しては別だった。何が書いてあるか全くと言っていいほどわからなかった。暇つぶしにもなるし、読み書きは大切だ。


 なので、覚える。いつだって勉強は生きていくために大切だ。 


 ・・・・・・・       ・・・・・・・       ・・・・・・・


 どれくらい歩いただろうか、あまり覚えていない。


 時間はそんなに経っていないはずだ。時間帯がそろそろ夕暮れ時になってきた。


 「そろそろ日が落ちるな」


 「そうだ・・・・おい、なんか声が聞こえないか?」


 そんなことを言われて、周りに耳を傾けた。


 確かにする。だけどこれは、なんの音だ?


 『カサカサカサ、カサカサカサ』


 風を切る音だ。足音も聞こえる。


 「おいおい、まさかモンスターか?」


 「いや、それにしてはゆっくりだし、よく聞けば話し声もしないか」


 「そしたら、あの光は夕焼けではなく、火かもしれない」


 「おいおい、希望が見えてきたな」


 初めて、人と会話ができる。厳密にいえば初めてではないが、あいつは人じゃない。


 なのでノーカン。


 嬉しさのあまり、全力で走った。


 どうやって会話するのか、どうやって関係を築くか何も考えずただ走った。


 そしてだんだん見えてきて足が止まった。


 まず、見えてきたのは民家や町ではない。それは割と、どーでもいい。


 問題は人だ。人生で初めての盗賊だった。


 何、このありきたりなパターン。


 などとは当然考えた。それよりも


 ((あの、年増女ぶっ殺してやる))


 ヘルメースに対する怒りが勝っていた。


 間違ってはいなかった。ヘルメースが人のところを教えてくれる


 そう言ってくれた。そう信じていたかと言われたら半々だった。


 疑ったつもりもないが、信用もしなかった。


 だからなのか、そこには確かに人がいたし、話している内容も分かる。


 ただ、自分たちは町か。もしくは民家とかの可能性しか考えていなかった。


 それが大きな誤算だったし失敗だった。だけど、それでも人がいた。


 それが大事だ。たとえどんな人だろうと人は人だ。


 あいつは約束を守った。どんな形であれ。


 「で、どうする?、話すか、話さずに行くか」


 ジンからの問いかけだった。確かにどうするか、このまま別の人達を探しに行ってもいい。だけど、


 こんなに深い森の中で果たして人は見つかるか、いや、見つかるわけがない。そう思った。


 「話に行くしかないだろ。こんな森の中じゃ他に人なんていないだろうしな」


 「オーケイ、なら、どうやって話に行く?」


 「流石にこの格好じゃ怪しいな、荷台に何かしらあるだろうからそれを拝借しよう」


 そう言って裏側に沢山ある荷台の一つに入っていった。


 全体的に見て、およそ20人から25人くらいの人だかりで出来ている。


 陸船の数が全部で6台あり、価値のある宝石や絵画などで埋め尽くされちいるのが3台、水や酒に1台、食料に1台、リーダが乗る専用が1台で構成されている。


 その中の1台に入っていった。主に価値がありそうな物がずらりとあったが、いまそんなものがあっても対して使うことが出来ない。


 とりあえず目当ての服とかはなさそうだった。


 「はずれだな、使えそうなものがない」


 「ああ、ここにはなにもな・・・」


 「い」と言おうとしたと気に、人が入ってきた。数にして2人。


 体つきはむしろもやしみたいに細い。だやれなくはない。


 とっさの判断で陰に隠れたからばれていないはず。


 (どうします?潰してその服をもらうか?)


 (今じゃない、例え成功したとしてもそのあとがどうすることもできない。


 だから、今回はスルーすることがいいだろ)


 そんなことを陰に隠れたエイジとジンはハンドシグナルで会話していた。


 そしたら、


 「なあ聞いたか、最近この辺に光が落ちたって話」


 「聞いた聞いた、なんでも空から一直線に落ちたって話だろ」


 「でもそのあとボスが見に行ったら何もなくて帰って来たんだよな」


 「でもおかしくないか、話しによれば痕跡も何もなかったんだろ、物騒なことだよな」


 そんな会話をしながら入ってきた2人はそのまま確認だけして荷台を降りて行った。


 怪奇現象か何かだと思うが、俺たちには何にも影響がないだろう。


 「さっきの会話どう思う?」


 「どうせ偶然が重なって見えただけだろ、気にすることはない」


 それでもジンは納得がいっていないみたいだ、そんなに気になることなのか、と

エイジは思った。


 結局、1台目にはこれというものがなく、すぐに隣の2台目に行こうとした。


 さっきの2人が入っているのは確認しているので、出てくるのを待った。


 だが、出てくるまでに5分くらいかかった。


 あの中にはそんなに大切なものがあるのか、行くべきか行かないべきか迷った。


 他の荷台には、最低でも1人が寝ていて、空いているのはさっきいった荷台と

目の前の荷台だけだった。


 「なあ、あの2人、俺たちの時は20秒くらいだけどあの荷台に5分くらい入って


 いなかったか?」


 「それは俺も思った、やばいものがあるのかもしれない、行くか、行かないか」


 決定権をジンにあげた。何かあった時にそれで力が必要な時はジン任せになって

しまうからだ。


 「行こう。俺達にはそれしかないだろ」


 「死にたくはないな」


 中にとんでもないものがあるかもしれないと覚悟を決めて入っていった。

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