第9巻(香絵ちゃんとうち)
香絵ちゃんとうち、今このキンモクシティで暮らしてて、そして毎日行ってるキンモク小学校。木造の、その可愛い小学校の近くには、可愛くも、なにやらめっちゃ妖しげなお人形屋さんあるの。
✩
小学校でも、音楽教室では、だれもいなくてもピアノのきれいな音色、聞こえてきたりする。
茶道部の部室でも、だれもいなくても、お茶の良い香り、ただよってきたりもしてる。
華道部の部室でも、だれもいなくても、活け花のお花をパチンッて切ってる、活け花ハサミの音、聞こえてきたり。
だれもいないはずの体育館から、剣道の竹刀の音だとか「メーンッ」「ドーッ」って声、聞こえてきたり。
そんな、うちと香絵ちゃんの行ってる小学校の近くにある、お人形屋さんのお店の出窓には、可愛いお人形さん、いっぱい飾られてあって、外からでも、いつもお人形さん見えてる。だいたい、みんな、可愛い着物を着てる。
ていうか、お人形さん、いつも、うちらのことを見てくれてるみたいに。
でも、なんかめっちゃ可愛いお人形さんだよ。
可愛く笑って、香絵ちゃんとうちのこと見てる気してる。
お店の前を通るたびに、いつも可愛げな、妖しげな雰囲気ただよってきてる。
✩
「いつか、あのお人形屋さん、入ってみたいね〜」
「そうだね〜」
って小学校に行きながら、香絵ちゃんといつも言ってる。
✩
ママとパパは、キンモクシティで、美術史の研究をしてる。いろんな変わった新しい美術とかも、いっぱいあるらしく、ふたりで楽しそうに毎日、研究してる。
キンモクシティの美術学校でも、いろんな美術史を教えながら、絵も描いてるママとパパ。
✩
土曜日の夕方。香絵ちゃんといっしょに行ってみることにした!お人形屋さんに!
木のトビラをガラガラガラ〜っと開ける。
「いらっしゃ〜い♡ふたりの来るの、待ってましたよ♡」て、お姉さんの声。
うわっ、お人形屋さんだと思ってたのに、お店の中、なぜかめっちゃ南の島風!うちら思ってたのとイメージぜんぜん違ってたわ〜。妖しげな雰囲気だと思ってたんだけど。なんだか異世界にでも行けちゃいそうなファンタジックな雰囲気めっちゃ持ってる。
お店の中なのに、太陽サンサン、めっちゃ輝いてて、まぶしいんですけど〜。今まだ外は春なんですけど〜。爽やかな風まで。めっちゃ爽やかな風まで吹いてる。
そして、海まであるわ〜。なんで、お店の中に海あるの〜?
いつの間にか、海の家みたいなとこに来てるわ〜。
お店の中、普通のお人形屋さんのイメージとぜんぜんちがうやんっ。
それでもチリンッチリンッと風鈴の音色は、可愛くも涼しげな、でもそれでいて、めっちゃ妖しげな音色。風流な感じする。
かき氷やソフトクリームの機械も置かれてある。なんで?なんでなん?
✩
香絵ちゃんと手をつないで、お店を1周。
可愛い花柄の浴衣姿のお人形さんを見つけて、お店のお姉さんのところに持って行く。お姉さんも、派手な花柄の着物姿で可愛い、でもなにやらめっちゃ妖しげなお姉さん。
「ありがとね〜。帰りは、あのピンクのドアからね〜」
って、お姉さんはピンクのドアを指さしてる。
うちわでパタパタあおぎながら。かき氷食べてる、お姉さん。
まだ、そんなに暑くはないんだけどな〜。
うちらは、手をつないで、ピンクのドアから外に出る。可愛いお人形さんのきれいな髪の毛をナデナデ。
✩
外に出たら、まったくもって見慣れない景色。
うわっ、もしかして異世界〜?!
異世界に来てもーたん?
冒険家いっぱい!
魔法使いもいっぱい、いるーっ!
✩
香絵ちゃんと、とりあえずギルドに行ってみる。
小学生用のクエストを探す。
あ、あったよ〜!
香絵ちゃん、クエスト1つ見つけた!
「美味しい山の幸キノコを10個採ってきて」
これにしてみるか?
そうしよう!
香絵ちゃんとさっそく山のほうに歩いて行ってみる。
うちらの最初のクエストだね〜!
そうだよね〜!
うちら、まだレベル0なのかな?
そうなのかな?
クエスト達成で、レベル1とかになるのかな?
きっと、そうなんだろうね〜!
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