6.対話と告白/大学時代の真実(朝陽視点)

29 ゆう、ちゃんと休んで

#まえがき

ここからしばらく朝陽視点が続きます。


#本文

朝陽は、日々、夕雨と過ごす時間が増える中で、どこかで見たことがあるような感覚に襲われることが増えてきた。

それは、ただの懐かしさとは違う、深い違和感だった。

夕雨が微笑むたび、彼女の声が耳に届くたびに、朝陽は心の中で何かが反応するような感覚に捉えられていた。


ある日、朝陽は夕雨と遅くまで残業していると、急にめまいがした。

歩いている途中、ふと足元がぐらつき、朝陽はそのまま地面に倒れ込んでしまった。

夕雨の心配そうな声が耳に入るが、朝陽はうわごとのように言葉を漏らしていた。


「ゆう…ちゃんと休んで…」


その一言を発した瞬間、朝陽は自分でも驚いた。

心の奥で誰かに伝えたかった言葉が無意識に口をついて出たのだ。


だが、その感情がどこから来たものか、朝陽にはわからなかった。

自分がなぜ「ゆう」と呼んでいるのか、その意味もわからず、ただただ心がざわついていた。

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