第22話「監視者、中居動く」

運営モニタールーム。

午前3時。


モニターには、寝静まる参加者たち。

だが──ひとりだけ、動いていた。



中居くんは、眠気まなこでカップ麺をすすっていた。


「今日も何人かブッ飛んだし、順調っちゃ順調ダベッ?」



だが、そのとき──

ある画面で“わずかなラグ”が発生した。


画面No.16。

アキの排泄ゾーン。



中居くんはスプーンを止めた。


「……ん?何だ今のダベッ?」



モニターを巻き戻す。


アキが便器の前にしゃがみ──

数秒、静止し──

袋を置き換えたような動き。



「……これ、差し替えてないダベッ……?」



中居くんはデータログを開く。


【排泄ログ:内容物検出 →異常なし】

【ニオイセンサー:反応弱】

【温度:一時的に低下】



「センサーはスルー……でも、実際には何かやってるダベッ?」



中居くんはカップ麺を横に置き、椅子をくるりと回した。

モニターに映る、アキの無表情な笑顔。



「……お前、何を隠してんだダベッ?」



その瞬間、別の端末がビープ音を鳴らした。

分析AIの警告。


【No.16:排泄パターン 前日比較99.9%一致】

【“整いすぎた同一動作”──異常検知】



「……“完璧すぎるうんこ”って、逆に不自然なんだダベッ……」



中居くんはイヤホンをつけ、

映像の微細な音声ノイズを分析し始めた。



「これはもう、“排泄じゃねぇ”動きしてるダベッ……」



スピーカーをオフにしながら、

中居くんは低く呟いた。



「アキ……

お前、もしかして“牙”を隠してんじゃねぇのかダベッ……?」

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