『俺達のグレートなキャンプ21 50kg蒲鉾作り』

海山純平

第21話 50kg蒲鉾作り

俺達のグレートなキャンプ21 50kgの蒲鉾作り


「よーっし!今回のグレートなキャンプは決まりだぜ!」

石川は両手を広げ、いつものハイテンションで叫んだ。彼の目は輝き、顔には満面の笑みが浮かんでいた。彼の隣には千葉と富山が座っていた。三人はキャンプ用のテーブルを囲み、次のキャンプ計画を話し合っていた。

「今回は何をやるんだ?」千葉は目を輝かせながら聞いた。「前回の『流しそうめん100m大会』は最高だったぞ!」

「まぁ、最高だったけど、周りのキャンパーから苦情が来たわよね」富山は溜息をついた。「『水が飛び散って困る』って」

「そんなこと気にするな!」石川は立ち上がり、拳を突き上げた。「今回の俺達のグレートなキャンプは...」

ドラムロールのように膝を叩き、リズムを刻む石川。

「蒲鉾作り!しかも50kg!」

「蒲鉾!?」千葉と富山は声を揃えた。

「そうだ!」石川は胸を張った。「魚のすり身を50kg用意して、でっかい蒲鉾を作るんだ!」

「え、ちょっと待って」富山は眉をひそめた。「なんで蒲鉾?しかも50kgって...」

「そこがポイントさ!」石川は指をピシッと富山に向けた。「キャンプで蒲鉾作ったヤツ、いるか?いねぇだろ!」

「確かに...」千葉は顎に手をやった。「聞いたことないな」

「そう!」石川は千葉の肩を叩いた。「俺たちの『奇抜でグレートなキャンプ』の新記録になるぜ!」

「でも、石川さん」富山は心配そうに言った。「キャンプ場で50kgもの蒲鉾作ったら、場所とか道具とか...」

「心配すんな!」石川は富山の心配をあっさりと打ち消した。「すべて計画済みだ!場所は富山県の〇〇キャンプ場。湖に近いから水も問題ない。道具は...」

ポケットから折りたたまれた紙を取り出し、テーブルの上に広げる石川。そこには細かい図面と準備物リストが書かれていた。

「すごいな、石川!」千葉は目を丸くした。「こんなに詳しく計画してたのか」

「当たり前だろ!」石川は自慢げに鼻を鳴らした。「俺のモットーは『奇抜でもグレートなキャンプ』。適当にはやらねぇよ」

「でも、50kgのすり身をどうやって...」富山はまだ疑問を持っていた。

「それがだな」石川はニヤリと笑った。「俺の親戚が魚屋をやってるんだ。特別に用意してもらえるぜ!」

「マジか!」千葉は興奮気味に叫んだ。「石川、さすがだな!」

富山はため息をついた。いつものことだ。石川が突飛なアイデアを思いつき、千葉がそれに乗っかり、自分だけが心配する。この三人の関係はいつもこのパターンだった。

「ねぇ、本当にこれで大丈夫?」富山は最後の抵抗を試みた。

「大丈夫、大丈夫!」石川は富山の肩を叩いた。「俺たちのグレートなキャンプ、今回も成功させるぜ!」

「まあ、どんなキャンプも一緒にやれば楽しくなるよ!」千葉が笑顔で言った。「俺は楽しみだぞ!」

富山はもう抵抗する気力がなくなった。どうせ石川が決めたら、もう変えられない。

「わかったわよ...」富山は諦めの表情で言った。「でも、周りのキャンパーに迷惑かけないでよ?」

「OK、OK!」石川は満面の笑みを浮かべた。「準備は俺に任せろ!来週末、富山県の〇〇キャンプ場で会おう!」


週末の朝、富山県の〇〇キャンプ場の駐車場に石川のピックアップトラックが到着した。荷台には巨大なクーラーボックスが積まれていた。

「おーい!千葉、富山!」石川はトラックから飛び降りると、手を振った。

千葉と富山は既に到着して、自分たちのキャンプ道具を整理していた。

「石川、遅いぞ!」千葉は笑いながら言った。「もう場所確保してあるぜ!」

「すまん、すまん」石川は頭を掻きながら謝った。「すり身の受け取りに時間がかかっちまった」

「それが50kgのすり身?」富山はクーラーボックスを指さした。

「そうだぜ!」石川は胸を張った。「鮮度抜群の白身魚のすり身だ!」

三人はキャンプ道具とクーラーボックスを持って、指定されたサイトへ向かった。場所は湖の近く、他のキャンプサイトからも見える開けたエリアだった。

手際よくキャンプサイトを設営した後、石川が特別に持ってきた大型調理器具を広げ始めた。

「おい、これは...」千葉は石川が広げた巨大な金属の型を見て驚いた。

「そう、特注の蒲鉾型だ!」石川は自慢げに言った。「親戚の魚屋で使ってるやつより大きいぜ!」

「ちょっと、これ持ってくるの大変だったでしょ?」富山は石川の熱意に少し感心していた。

「そりゃあな!」石川は笑った。「でも、グレートなキャンプのためだ!」

周りのキャンプサイトからは、好奇の目が集まり始めていた。普通のキャンプ道具に混じって、巨大な蒲鉾型と調理器具が目立っていた。

「見られてるわよ...」富山は小さな声で言った。

「大丈夫だって!」石川は気にせず作業を続けた。「俺たちのグレートなキャンプの醍醐味じゃないか!」

すべての準備が整ったところで、石川はクーラーボックスを開けた。中には白く新鮮なすり身が詰まっていた。

「よーし!」石川は手を叩いた。「さあ、蒲鉾作りを始めるぞ!」

「まず、すり身に塩と調味料を混ぜるぞ!」

石川の指示のもと、三人は巨大なプラスチック容器にすり身を入れ始めた。

「石川、すり身ってこんなに重いんだな...」千葉は10kgほどのすり身を持ち上げながら言った。腕の筋肉が悲鳴を上げるのが感じられた。

「筋トレだと思えよ!」石川は笑いながら別の塊を持ち上げた。

「うっ、腰...」富山は重たいすり身の塊を持ち上げようとして顔をゆがめた。「これ、本当に全部混ぜるの?」

「もちろん!」石川は元気いっぱいに答えた。「均一に混ぜないと、美味しい蒲鉾にならないからな!」

すり身をボウルに入れる作業だけで、すでに三人は汗だくになっていた。千葉は腕をぶるぶると震わせながら、最後の塊を投入した。

「よし、次は混ぜるぞ!」石川は巨大な木のヘラを取り出した。

「え、そのヘラ、どこから...」富山は目を丸くした。

「オリジナル特注品だ!」石川はヘラを振り回した。「さあ、交代で混ぜていくぞ!」

まず石川が率先して混ぜ始めた。すり身はねっとりと重く、粘り気があり、ヘラを動かすのは予想以上に力が必要だった。

「うおおおっ!」石川は歯を食いしばり、全身の力を込めてヘラを動かした。「これは...予想以上に...キツイ...!」

1分も経たないうちに、石川の額から大粒の汗が滝のように流れ落ちた。

「千葉、交代だ...!」石川は息を切らしながらヘラを渡した。

千葉は意気揚々とヘラを受け取ったが、実際に混ぜ始めると、すぐに顔が真っ赤になった。

「こ、これは...」千葉は腕を震わせながら言った。「マラソン走るより...きついぞ...!」

「ほら、富山も手伝って!」石川は富山の背中を押した。

「え、私も!?」富山は渋々ヘラを握った。「うわっ、重い!これ本当に混ざるの?」

「根性だ、根性!」石川は声援を送った。「グレートなキャンプには根性が必要なんだ!」

三人は交代で混ぜ続けたが、5分経過しても、すり身はまだ均一になっていなかった。15分が経過した頃には、三人とも腕が筋肉痛になり始めていた。

「もう...無理...」千葉は腕を垂らし、地面に座り込んだ。

「まだ半分も混ざってないぞ!」石川は焦った声で言った。「このままじゃグレートな蒲鉾にならない!」

そこへ、隣のキャンプサイトから年配の男性が近づいてきた。

「すみませんが、何を作っているんですか?」男性は好奇心いっぱいの表情で聞いた。

「蒲鉾です!」石川は汗だくになりながらも胸を張って答えた。「しかも50kg!」

「まぁ、それは珍しい!」男性は驚いた表情を見せた。「大変そうですね。お手伝いしましょうか?」

「本当ですか!?」三人は同時に声を上げた。

男性の呼びかけで、近くのキャンプサイトからさらに数人が集まってきた。みんな蒲鉾作りに興味津々の様子だった。

「私も手伝いましょうか?」

「面白そうですね!」

「キャンプで蒲鉾作りなんて初めて見ました!」

気がつけば、10人近くのキャンパーが集まり、交代で混ぜる手伝いをしてくれることになった。石川は大喜びで、蒲鉾作りの指揮を執った。

「よーし!みんなで力を合わせれば、グレートな蒲鉾が完成するぞ!」

総勢十数人での混ぜ作業は30分ほどで完了し、ようやくすり身は均一になった。次は巨大な蒲鉾型に詰める作業だった。

「こうやって、空気が入らないようにしっかり詰めるんだ」石川は手際よく作業を進めた。しかし、これもまた重労働だった。すり身を少しずつ丁寧に詰めていく必要があり、三人の腕はさらに疲労していった。

千葉の腕は震え、富山は何度も「もう無理...」とつぶやいた。しかし、石川の熱意と周りのキャンパーの助けを借りて、なんとか型詰めも完了した。

「次は蒸し上げだ!」石川は大型の蒸し器を準備し始めた。

「何時間くらいかかるの?」富山は時計を見ながら聞いた。

「この量だと、2時間はかかるな」石川は額の汗を拭いながら答えた。

「2時間!?」千葉は驚いた。「その間、俺たちはどうするんだ?」

「もちろん、見守るんだよ!」石川は当然のように言った。「蒸し加減が大事なんだからな」

こうして、炭火を起こし、大型蒸し器にかけた彼らの50kgの蒲鉾は、ゆっくりと蒸し上がっていった。


2時間後、ついに蒸し上がった蒲鉾を取り出す時が来た。

「よーし、蒸し上がったぞ!」石川の声が響いた。

三人は協力して、巨大な蒲鉾を蒸し器から取り出した。見事な赤と白の層になった蒲鉾は、確かに50kgの重量感があった。

「完璧だ!」石川は満足そうに言った。「俺たちのグレートな蒲鉾の完成だ!」

周りには再び人だかりができ、巨大蒲鉾を見ようと何十人ものキャンパーが集まってきた。

「すごい!こんな大きな蒲鉾見たことない!」

「キャンプでこれを作るなんて信じられない!」

「食べてみたいです!」

石川は得意げに胸を張った。富山と千葉も疲れながらも、達成感に満ちた表情を浮かべていた。

「さあ、いよいよ食べるぞ!」石川は大きな包丁を取り出した。

そこで突然、問題が発生した。

「どうやって食べるんだ?」千葉が言った。

「え?」石川は動きを止めた。「普通に切って食べるんじゃないのか?」

「いや、でも50kgだよ?」千葉は首を傾げた。「全部は食べきれないだろ」

「そりゃそうだけど...」石川も考え込んだ。

「私は思うんだけど」富山が口を開いた。「まず薄く切って、わさびをつけて食べるのがいいんじゃない?」

「いやいや」石川は首を振った。「蒲鉾といったら、醤油をつけて食べるべきだろ!」

「でも、わさびの方が合うと思うな」富山は譲らなかった。

「俺は天ぷらにしたらどうかと思うんだ」千葉が突然言い出した。

「天ぷら!?」石川と富山は同時に声を上げた。

「そう!」千葉は目を輝かせた。「蒲鉾の天ぷら!斬新だろ?」

「それこそ、どうやって揚げるんだよ!」石川は頭を抱えた。「50kgもの蒲鉾を天ぷらにするなんて不可能だぞ!」

「だったら、バーベキューにしよう!」千葉は次のアイデアを出した。「蒲鉾をグリルで焼いて!」

「ちょっと、もう蒸してあるのに、さらに焼くの?」富山は呆れた。

周りのキャンパーたちも議論に加わり始めた。

「私は醤油派です!」

「いや、わさびの方が絶対いい!」

「バーベキューソースをかけて食べたらどうですか?」

「マヨネーズをつけるのはどうでしょう?」

議論は白熱し、キャンプ場全体が蒲鉾の食べ方論争で沸き立った。石川は立ち上がり、手を振って注目を集めた。

「みんな、聞いてくれ!」石川は大声で言った。「俺には素晴らしいアイデアがある!」

全員が静かになり、石川に注目した。

「この蒲鉾を何種類かの食べ方で試そう!」石川は笑顔で提案した。「醤油派、わさび派、バーベキュー派、マヨネーズ派...みんなが好きな方法で食べられるように、小さく切り分けるんだ!」

「それは名案だ!」千葉は拍手した。

「確かに、それがいいわね」富山も納得した様子だった。

キャンパーたちからも賛同の声が上がった。そして、大きな包丁で蒲鉾が切り分けられ、様々な調味料とともに配られていった。

石川、千葉、富山の三人は、自分たちの取り分を手に取り、お互いを見つめた。

「本当にやり遂げたな...」千葉は感動したように言った。

「ええ、50kgの蒲鉾...」富山もしみじみと言った。

「俺たちのグレートなキャンプ、大成功だ!」石川は笑顔で言った。

三人は、それぞれの好みの調味料をつけた蒲鉾を掲げ、声を合わせた。

「いただきます!」

最初の一口を食べた瞬間、三人の表情が輝いた。

「うまい!」千葉は目を丸くした。

「これ、想像以上に美味しい!」富山は驚いた様子で言った。

「だろ?」石川は満足げに笑った。「俺たちで作ったから、特別なんだよ!」

周りのキャンパーたちも蒲鉾を味わい、次々と絶賛の声が上がった。キャンプ場は蒲鉾パーティーと化し、みんなが笑顔で交流していた。

夕暮れ時、キャンプファイアーを囲み、残った蒲鉾を肴に、キャンパーたちはビールを片手に談笑していた。石川は満足げに空を見上げた。

「なあ、次のグレートなキャンプは何をやろうか?」石川は千葉と富山に聞いた。

「まだ考えてるの?」富山は呆れた表情を見せたが、隠しきれない笑顔があった。

「もちろん!」石川は両手を広げた。「俺たちのグレートなキャンプは、まだまだ続くんだぜ!」

「次は何をやるんだ?」千葉は好奇心いっぱいに聞いた。

石川はニヤリと笑い、星空を指さした。

「それはな...」

こうして、彼らの「グレートなキャンプ」の冒険は続いていくのだった。

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『俺達のグレートなキャンプ21 50kg蒲鉾作り』 海山純平 @umiyama117

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