終わりがあるから綺麗な桜
諏訪彼方
プロローグ
「あと、半年なんだってさ」
私、
病院の屋上、私は風に髪をなびかせながら空を見上げていた。
「嘘でしょ?」
親友の
「そんなの……そんなのって……」
「うん、ごめん。でもね。だからこそちゃんと生きたいって思ってる。ちゃんと、好きな人といたいって」
私はそっと美玖の手を取った。手のひらは少し冷たかったけど、しっかりと力がこもっていた。
「私は美玖が好き。中学のときからずっと。気づいてた?」
「……なんとなく気づいてたけど、好きになったら、終わる気がしてたから、気づかないふりしてた」
「優しいね。美玖は。けど、今は終わりがあるから余計今のあなたを大事にできるんだって分かるんだ」
美玖の瞳は分かりやすく揺れていた。
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