身長48メートル、聖女はじめました。
タハノア
第1話 正面衝突!? サヨナラ現世!?
第1話 正面衝突!? サヨナラ現世!?
あたしは、今急いでいる!
お気に入りの作家の単行本の発売日なのだが、あたしとしたことが、ネット予約をミスっていたのだ!
今日のうちに手に入れるには本屋を回るしか無い! だから自転車のペダルを全力で漕いでいる!
狭い道を自転車で爆走している。急いでいるのに正面から自転車とその後ろから自動車が来ていた。
あたしは、めちゃくちゃ驚いたね! なんでかって言うと正面の自転車に乗ってる女がヤバすぎたからだ。
耳にはうどんが飛び出てるようなイヤホン。そして、右手にはラメがぐるぐる動いてるカバーのスマホ、左手にはタピオカドリンク。
信じられる!? すごい状態で自転車に乗ってるよ!
コイツ頭おかしいんじゃないかと思ったその瞬間そいつは、見事にころんだ。
ざまぁ! と思ったけど、そいつは、あたしの行先を塞いでいた事に気がついた。
緊急回避!
あぶない!ギリギリ避けられたと思ったその瞬間!
真正面に車が現れた!
あ、そういえば車が来てたんだった、目の前の女がやばいヤツ過ぎて忘れてた。
私は飛ばされながらも冷静に考えている。ああ、同じ方に避けてかち合ってしまったのね。運転手さんもあれを見てたんでしょうね。
お互い運が悪かったね……。
いや違う耳うどんラメタピオカ女のせいだ!
おっと、そろそろ地面だね。ゴロゴロ転がるけど痛みがまったくないね。
奇跡的に無傷かな? さすがあたし。
「キャーーー!」
耳うどんラメタピオカが、あたしを見て叫んでいる。
いやいや、なに被害者ヅラしてんの? 99.99%あんたのせいだからね?
無傷だったら良かったものの……。あれ? 体が動かないよ?
あたしと地面の間にどんどん赤が広がっていく。
あ、これ死ぬやつだ。
っておとなしく死ねるかー!
すごいねやればできるね。あたしは体から抜け出し半透明になりながらも耳うどん女を殴りに歩を進める。
今まさに私の拳が炸裂しようとしたその時!
「今よ! 捕まえなさい!」
なんとあたしの横から天使のコスプレをした女がタックルしてきた。この周辺は一体どうなているの!? 変人の巣窟なの!?
私はタックルを食らって見事に倒された。
「なにするのよ! 一発殴るぐらいいいじゃないの!」
あたしは、そう叫んだけど、タックル天使の姿はなくなっていた。
それどころか、いつのまにか真っ白でなにもない場所に移動していた。
「こんにちは、結月あきらさん」
声がした後ろを振り返ると、そこには、白い服で杖を持った青い髪の女が立っていた。
「あんた、なんであたしの名前知ってるよの」
「私は、ガイア、地球の女神です」
私は眉間をしわくちゃにして、にらみつける。もしかしてあれか?
「残念ながら、あなたは、死んでしまいました」
ああ、やっぱりあれだこれ異世界転生のたぐいのやつだ。
まったく、ああ言うのは心霊番組とかと一緒で、自分が体験しないから面白いのよ。そういう話が好きだからって異世界へ行きたいんじゃないんだよねぇ。
「異世界行きたくないので普通に生き返して? どうせあんたのミスで本当は死ぬのはうどん女だったとかって話でしょ?」
「え? うどん女? 何の話でしょうか?」
「とぼけたって無駄よ!」
「いえ、とぼけていませんし、あなたが死ぬのはミスでも何でもありません」
は? じゃあ、あたしはなんでこんなところに?
「実は、あなたは、将来大悪霊の核となってしまうのです。ですのでこの世界から追放させていただきます」
何いってんのこいつ?
「意味わからないわよ。きちんと説明しなさい」
私がビシッと言ってやると、ガイアのオバちゃんは、この後起こる未来を話し始めた。
ブチ切れて霊体になったあたしは、あいつを殴り殺して悪霊化するらしい。その後フラフラ街をさまよい悪い気を全部吸収していてガイアのオバちゃんの息子を倒して超巨大自然災害を引き起こすんだってさ。
「やるじゃん未来のあたし」
「なにを感心しているんですか、未来から来た天使の助けで、その未来は回避されました」
あのタックル天使か! なに余計なことしてくれちゃってるんだよ。
「そこで、今の所、無実のあなたにチャンスをあげます。他の世界に行ってみませんか?」
「うーん、どうしよっかな~。 うん! お・こ・と・わ・り!」
ガイアのおばちゃんの口元がひくひくしてる。
「なんですかそのバカにした態度は! それに先程からオバちゃんオバちゃんと!」
あれ? あたし声だしてた? いや神様のたぐいだから心が読める?
「そのとおりです」
あっ。そうなんだなんかゴメンね。オバちゃん!
「滅する! もう嫌! コイツ無実でも滅していいでしょ!?」
ガイアのオバちゃんは、上を向いて誰かに話しかけているみたいだ。
お? これは上司的な存在がいるんですな? しかも今はまだ無実だから丁寧に扱わなきゃいけないっと言ったところかな?
「チッ!」
わーお。この人舌打ちしたよ。女神の舌打ちとか聞いたのあたしが人類で初めてじゃね?
死んだなら普通に地球で転生でいいんじゃないの? 結果的に寿命がのびてお気に入りの作家の全作品発売されてるだろうし、そっちの方がいいわ。
「いえ、あなたは何度生まれ変わっても。流行を無理やり取り入れたおかしな人のせいで事故死します。そして、そのたびに悪霊になります」
わぁー。あたしの運命力ってヤバくね?
「なので、他の世界に転生か転移することは決定事項です」
あらら。転生か転移決定だってさ。
「その際に恨みが残らないように大往生する人生のレール付きです」
うーん毎回事故死するよりは、そっちのほうがいいのかな? なんか負い目がありそうだしちょっとサービスしてもらってもバチは当たらないよ? そこのところどうなのよ?
「サービスですか……。仕方がありませんある程度都合をつけましょう」
やった!
じゃあ、特別な力を持っていて、やらなきゃいけない仕事は、簡単なのがいいな。
「その条件だと……。これなんてどうでしょうか? 転移カテゴリで聖女召喚ですね。仕事内容は汚れた大地を浄化するだけですね」
ふむふむ、あれだね。イケメンが何人もアタックしてくるってやつだね~いいねそれ!
「では決定ということで……」
待ってよ。もうちょいサービスしてもいいでしょ? 無理やり現世に行っちゃうぞ☆
「はぁ~ホントこいつ滅したい。……分かりましたよ。防御力強化と自己治癒能力強化に、おまけで痛み軽減も着けますよ」
よし乗った! さぁ! 行きましょう! 私のハーレム世界へ!
「大丈夫かしらあの子に任せて……」
あの子って誰? 向こうの人?
「あなたが行く世界の担当の女神です。召喚で外部から人が来るのは初めてなので、あまり無理させないように」
はいはい、分かりましたよ。新人を生暖かい目で見ろってことでしょ。
なまあたたかいめ~ぽわぽわ~。
「……。もうさっさと送ってしまいましょう」
そう言うとガイアのオバちゃんが杖を掲げてピカッと光らせた。
すると頭の上に魔法陣が現れた。
「もう合うこともないでしょう。あちらで無事成仏してくださいね」
魔法陣がゆっくり降りてきて転移が始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます