言語認知物理学1 草稿編
ジュン
言語認知物理学1 草稿編
第1章 序論──ゼロ、ゼロ元素、潜在世界、0=1の基本構図
1-1 ゼロとは何か
宇宙の本質を考えるとき、私たちはゼロという概念に向き合わざるを得ない。
ゼロとは、存在しないもの、空なるもの、すなわち「無」である。
しかし、ゼロは単なる「何もない状態」ではない。
ゼロは、あらゆる存在の基盤であり、すべての現象がそこから立ち上がる潜在的場である。
根本的なゼロ、すなわち「絶対ゼロ」とは、
物理法則も存在せず、観測も不可能な、純粋な無の領域である。
---
1-2 ゼロ元素(Zero Element)とは何か
ゼロ元素とは、
この「根本ゼロ」を構成する最小単位を指す概念である。
ゼロ元素は物理法則にも属さず、
観測も言語化も本質的には不可能である。
しかし、もしゼロ元素の集合が一定の密度(パーセンテージ)をもって存在すると仮定するならば、
そこから現実世界(現象世界)が立ち上がる可能性がある。
---
1-3 潜在世界と現実世界
ゼロ元素の集合において、
存在密度が 0%より大きく100%未満 である領域を「潜在世界」と呼ぶ。
0% → 完全な無(何も存在しない)
100% → 確実な存在(現実世界)
潜在世界はこの中間に位置し、
現実には現れていないが、可能性として存在している領域である。
現実世界は、100%に近い密度のゼロ元素の集合により立ち上がる。
---
1-4 0=1という関係式
本理論では、
0=1
という大胆な関係式を仮定する。
これは、
ゼロ(存在しないもの)と一(存在するもの)が本質的に同一である
という意味である。
この関係式により、
矛盾(存在と無の同一性)
言語の成立
物理現象の生成
が一元的に説明されることになる。
---
1-5 言葉と物の等価性の原理
また、言語認知物理学では、
言葉と言語現象は常に物理現象と一致すると仮定する。
言葉は、単なる記号や表現ではない。
言葉もまた物理現象の一部であり、物理法則に従って生成され、存在している。
これを
言葉と物の等価性の原理(Principle of Equivalence of Words and Things)
と呼ぶ。
---
以上が、これから展開する理論の土台となる基本概念である。
次章から、
ゼロと存在の関係、
言語と物理現象の関係、
そして潜在世界と現実世界のダイナミクスについて、
さらに詳細に考察していく。
第2章(訂正版) ゼロと存在の関係──言語現象と物理現象の一致
2-1 ゼロと存在の相互関係
宇宙の起源を問うとき、
「ビッグバン以前には何があったのか」という問題に行き当たる。
多くの宇宙論では、
完全な無(ゼロ)からは何も生まれないため、
「わずかな何か」が存在していたと仮定する。
しかしこの立場には限界がある。
なぜなら、「わずかな何か」が存在するならば、
その「何か」自体の起源を問わねばならなくなるからだ。
この無限後退を避けるために、
ゼロそのものが、存在を内包していると考える必要がある。
---
2-2 ゼロの確率的存在性
ゼロは単なる「無」ではない。
ゼロの集合を確率的に捉えたとき、
100%のゼロ集合は、確実な存在と同義になる。
0%のゼロ集合 → 存在しない
100%のゼロ集合 → 存在する(=現実世界)
この見方により、
存在と無は確率的な連続体上に並ぶものとなる。
---
2-3 言語現象と物理現象の一致
言語は物理法則に従う現象であり、
発話された言葉は、必ずどこかの物理現象と対応している。
たとえば、
「私は太郎です」という発話は、
現実に「太郎」という存在と一致する。
また、
「私は太郎ではありません」という発話も、
潜在世界(0%より大きく100%未満)における別の可能性として成立する。
---
2-4 矛盾発話と潜在存在
仮に、
「私は現在、日本でこの論文を書いている」と
「私は現在、オーストラリアでこの論文を書いている」
という矛盾する発話が同時になされたとしよう。
通常、これは成立しないと考えられる。
しかし、ゼロ(絶対ゼロ)は、
どんな値をも許容する恒等的存在であり、
地理的区別すら無化される可能性を内包している。
すなわち、
「私は日本とオーストラリアの両方で同時に論文を書いている」
という状況が、ゼロ理論のもとでは許容されるのである。
---
2-5 言語は嘘をつかない
言語現象が物理現象に従う以上、
言語は本質的に嘘をつくことができない。
嘘のように見える発話も、
潜在世界、あるいはゼロ世界において、
何らかの形で成立している。
したがって、
発話されたすべての言葉は、
どこかの存在状態において真であると考えられる。
---
これが、
ゼロと存在の関係、
言語現象と物理現象の一致性に関する基本的な構図である。
次章では、
ビッグバン以前のゼロの問題と、
「数直線宇宙仮説」に進んでいく。
第3章(訂正版) ゼロとビッグバン──数直線宇宙仮説の提起
3-1 ビッグバン以前の問題
宇宙論において長らく議論されてきたのは、
「138億年前のビッグバン以前には何が存在していたのか」
という問いである。
現代宇宙論では、完全なゼロ(無)からは存在を生み出せないため、
ビッグバンの前には「何らかの微小な存在」があったと推測されている。
しかし、その「微小な存在」自体の起源は説明できない。
この無限後退を回避するためには、
ゼロそのものが存在と無を同時に含む
という考え方を導入する必要がある。
---
3-2 0≠1の立場とその問題点
もし言語が根本ゼロについて語ることができないとすれば、
ゼロについての発言はすべて偽と見なされ、
言語とゼロは明確に区別されなければならない。
これは
0≠1(ゼロは1ではない)
という立場に対応する。
この立場では、ゼロは絶対的無であり、
存在とは完全に区別される。
したがって、ゼロについて語る試みは、
常に失敗する運命にあるとされる。
---
3-3 0=1の立場と新たな可能性
しかし、別の立場も存在する。
もし言語がゼロについて語ることができるならば、
0=1 という関係式が真であることになる。
つまり、
ゼロ(無)と存在(有)は本質的に同一であり、
言語現象もまたゼロ世界と連続している。
この見方に立つと、
ゼロから現象世界が自然に立ち上がる構図が可能となる。
(補足)
ここで言う「ゼロについて語る」とは、
ゼロ元素に直接的に言及することではない。
あくまで、ゼロに起源を持つ現象の側から、
間接的にゼロを表象することを意味する。
ゼロ元素そのものは、物理法則に先立つため、依然として直接的には語り得ない。
---
3-4 数直線宇宙仮説とは何か
こうした視点に基づいて、
数直線宇宙仮説(Number Line Universe Hypothesis)
を提唱する。
この仮説では、
宇宙はゼロの集合から生まれ、
ゼロに限りなく近い存在濃度を持ちながら、
現象世界として立ち現れている。
数直線上では、
ゼロとある有限値Nの間にさらに中間値N'が存在し、
N'とゼロの間にもさらにN''が存在する。
この無限分割は終わることなく続く。
---
3-5 単一要素は存在しない
この数直線モデルに基づけば、
究極的な「最小要素」──
これ以上分割できない単一の存在──を発見することはできない。
どこまで行っても、
ゼロに限りなく近づくだけであり、
ゼロそのものには到達できない。
したがって、
宇宙を一様に説明できる真の単一要素は存在せず、
すべてはゼロ元素の集合として存在していると考えられる。
---
これが、
ゼロからビッグバン、
そして宇宙の構造を説明するための
「数直線宇宙仮説」
の基本的構図である。
次章では、
この宇宙構造における発話行為と存在パラドクスについて、
さらに深く考察していく。
第4章(最終確定版) 発話行為と存在のパラドクス──矛盾発話とゼロ世界
4-1 発話行為と物理現象
言語現象は、単なる記号のやり取りではない。
発話行為そのものが、物理現象の一部をなしている。
たとえば、
「私は人間だ」という発話は、
発話という行為自体が物理現象であり、
内容(人間という存在)も物理現象である。
したがって、言葉は単なる外在的な記述ではなく、
物理世界における現象の一形式である。
これが、
言葉と物の等価性の原理
である。
---
4-2 矛盾する発話と潜在存在
言語はまた、矛盾する発話も可能にする。
たとえば、
「私は人間である」
「私は犬である」 といった発話が同時になされることもある。
通常の論理体系では、これは矛盾として排除される。
しかしゼロ理論の観点からは、
この矛盾も潜在世界(0%より大きく100%未満)において成立する。
表面世界では「人間」という存在形態が現れていても、
潜在世界には「犬」という存在形態が隠れている可能性がある。
したがって、矛盾発話は、
潜在世界の存在を前提とすれば自然に理解できるのである。
---
4-3 矛盾集合(Contradiction Set)としての0=1
0=1の関係式は、
現実世界(100%の側)、
潜在世界(0%より大きく100%未満)、
そして
ゼロ元素そのもの(0%)、
これら三層すべてを統一するものである。
この関係式のもとでは、
表現世界(言語発話)と
現実世界(物理現象)
がたとえ矛盾していても、
ゼロ世界の観点からは同時に許容される。
すなわち、ゼロ集合の内部では、
現実、潜在、無という三つの層が重なり合い、
矛盾を含む複数の存在形態が共存可能であり、
この矛盾性そのものが世界の根本構造を成している。
---
4-4 完全否定と発話行為の消滅
さらに、次のような発話を考えることができる。
> 「私は人間ではなく、犬であり、潜在可能性を完全に否定する」
この発話では、
潜在世界における可能性すら否定され、
現実世界とも一致しない内容が宣言される。
この場合、
発話行為そのものが物理的現象として成立しなくなる。
なぜなら、物理現象に支えられない言語行為は、
存在基盤を持たないためである。
この結果、
言語行為自体が消滅し、
物理現象の側にも対応する実体が存在しなくなる。
すなわち、
このような発話は、
発話行為そのものを消去する発話
となるのである。
---
4-5 間接的な証明──背理法的アプローチ
発話行為が物理現象として成立しないという事態は、
通常の言語行為の枠組みでは説明できない。
ここで私たちは次の推論を行うことができる。
すべての発話行為が必ず物理現象として成立するなら、
発話の消滅は起こらないはずである。
しかし実際には、ある種の極限的発話が、
発話行為の消滅を引き起こす。
したがって、発話も物理現象も成立しない領域──
すなわちゼロ元素の領域──が存在すると推論される。
これは、いわゆる**背理法(Reductio ad absurdum)**に類する方法である。
私たちはゼロ元素そのものを直接に語ることはできない。
しかし、発話の破綻という現象を通じて、
ゼロ元素の存在を間接的に証明することができるのである。
すなわち──
到達不可能であること
語ることができないこと
現象が成立しないこと
これらすべてが、裏側からゼロ元素の存在を指し示している。
---
これが、
発話行為における存在のパラドクス、
矛盾発話とゼロ世界の論理的構造である。
次章では、
この基盤をふまえて、
言語と物理現象の等価性をさらに精緻に展開していく。
第5章(最終完成版) ゼロ元素と言語の限界
5-1 ゼロ元素への言及の不可能性
ゼロ元素とは、
物理法則が成立する以前の、
純粋な無の構成単位である。
このゼロ元素に対して、
私たちの言語行為は本質的に無力である。
なぜなら、
言語は物理法則に基づく現象であり、
ゼロ元素はその物理法則自体が存在しない領域に属しているからである。
そのため、
ゼロ元素を直接的に語ることは不可能である。
---
5-2 言語の物理法則依存性
言語現象は、物理現象の一部であり、
必ず物理法則の影響下にある。
したがって、言語が成立するためには、
ある種の物理的基盤が必要不可欠である。
しかし、ゼロ元素は物理基盤を持たない。
つまり、ゼロ元素について言語が及ぼうとするとき、
その言語行為は成立条件自体を失ってしまう。
このため、
ゼロ元素について語ることは、
言語行為の自己矛盾を引き起こすのである。
---
5-3 ゼロ元素の存在と語り得なさ
私たちはゼロ元素そのものを
直接表現することはできない。
にもかかわらず、
ゼロ元素の存在は、間接的には確信される。
なぜなら、
言語が成立しない極限状況
発話行為が破綻する事態
潜在可能性すら消失する瞬間
これらが存在するという事実が、
ゼロ元素の存在を裏側から示しているからである。
言語行為の限界そのものが、
ゼロ元素の輪郭を暗示しているのである。
---
5-4 ゼロ元素と現象世界の連続性
ゼロ元素は、完全なる無でありながら、
現象世界への連続的な接続を持つ。
具体的には、
密度0%ではゼロ元素そのものであり、
密度が0%より大きくなると潜在世界が立ち上がり、
密度が100%に近づくことで現実世界が現れる。
そして、
密度が100%に達した時点では、
潜在世界は閉じ、唯一の現実世界が確定する。
これは、ゼロ元素の密度ポテンシャルが最大化し、
存在が一つの形態として定着した状態である。
しかし、ここで注意すべきなのは、
0=1の関係式に基づくならば、
たとえ密度100%の現実世界であっても、
本質的にはゼロ元素との連続性を保持しており、
そこには微細な不安定性──絶対に固定されきらない揺らぎ──が内在している
という点である。
さらに付け加えるならば、
密度100%に達した存在は、
単なる高密度の現象ではなく、
理論上の完全存在、すなわち
イデア界的な理想世界に相当する。
しかし、
0=1の根本論理によれば、
この理想存在もまた、
ゼロ元素そのものと不可分である。
すなわち、
完全な存在の確定とは、逆説的に、完全な無の確定でもある。
存在の極限は無であり、
無の極限は存在である。
この二重性こそが、
言語認知物理学におけるゼロ=存在の深層構造をなしている。
---
5-5 ゼロ元素をめぐる言語の新たな位置づけ
以上をふまえると、
言語とは単なる記号操作ではない。
言語は、ゼロ元素を基盤としながら、
物理法則に基づいて表面化した現象の一部であり、
潜在世界と現実世界を媒介する働きを持つ。
言語はゼロを直接語ることはできないが、
ゼロに起源を持つ現象の側から、
ゼロの影を間接的に映し出している。
言語の限界とは、
すなわちゼロ元素の存在限界そのものである。
そして、
ゼロ元素の存在が前提となることで、
言語と現象世界は一つに結びついている。
---
これが、
ゼロ元素と言語の限界、
そして存在と無の究極的一致に関する基本的な構図である。
次章では、
この枠組みをさらに発展させ、
言語と物理現象の絶対的等価性の原理へと展開していく。
第6章 言葉と物の等価性
6-1 言葉と物理現象の同一性
言語現象と物理現象は、
本質的に別個のものではない。
言語による発話行為は、
それ自体が物理法則に基づく現象であり、
自然界の一部として成立している。
たとえば、
「私は人間だ」と発話する行為は、
単なる記号操作ではなく、
現実の存在状態に結びついた物理的な運動である。
このように、
言語と物理現象は、
最初から同一の基盤上に存在している。
これが、
言葉と物の等価性の原理(Principle of Equivalence of Words and Things)
である。
---
6-2 意味の生成と存在の生成
言語発話とは、単に既存の事実を記述するものではない。
言語行為は、
意味を生成し、
それと不可分に存在をも生成する。
発話によって提示された内容は、
現実世界において対応する存在状態を要求し、
その存在を支える役割を果たしている。
言葉は、物理現象を反映するだけでなく、
現実そのものを構成する一翼を担っている。
---
6-3 言語と潜在世界の関係
言語は、現実世界だけでなく、
潜在世界にも接続している。
たとえば、
「私は犬である」という発話は、
現在の現実世界とは一致しないかもしれないが、
潜在世界(0%より大きく100%未満)における存在可能性を開示している。
言語は、
現実化していない存在形態をも表現することで、
潜在世界を現象世界と結びつける。
このように、
言語は現実と潜在を媒介する役割を果たしている。
---
6-4 言語の恣意性と物理法則
一般に言語は恣意的に使われると考えられている。
たとえば、「私」という言葉は、
話し手によって指す対象が異なる。
しかし、厳密に言えば、
この恣意性もまた物理法則に基づく制約のもとで成立している。
言語使用の自由は無制限ではなく、
必ず物理現象に裏打ちされた実際の条件と結びついている。
たとえ言葉が自由に用いられているように見えても、
その運動は、ゼロ元素から立ち上がった現象世界の構造の一部として制約されているのである。
---
6-5 言葉と物の絶対的等価性
言語と物理現象が本質的に同一であるならば、
両者を区別する必要はない。
言葉は物であり、
物は言葉である。
すなわち、
言語とは、ゼロ元素に由来する存在ポテンシャルの一表現形態であり、
物理現象とは、その同じ存在ポテンシャルの別の表現形態である。
言語と物理現象は、
ゼロ=存在の連続体の中で、
本来ひとつの現象である。
これが、
言葉と物の絶対的等価性の根本原理である。
---
これが、
言語認知物理学における言葉と物理現象の関係、
すなわち「言葉と物の等価性」の基本的構図である。
次章では、
この等価性を前提として、
発話行為が持つ存在生成力について、さらに深く考察していく。
第7章 発話行為と存在生成
7-1 発話行為の存在論的地位
言語による発話行為は、
単なる情報伝達ではない。
それは、
存在そのものを生成する働きを持つ行為である。
発話によって生み出される意味は、
物理現象と不可分であり、
その発話は新たな存在状態を現実世界または潜在世界に創出する。
発話とは、
存在生成のための運動なのである。
---
7-2 発話と現象化
発話行為は、
潜在していた存在形態を、
現実世界に引き出すトリガーとなる。
たとえば、
> 「私はここにいる」
という発話は、
それ自体が発話者の存在を、
物理現象として確定させる力を持っている。
言葉は単なる反映ではなく、
現実を構成するアクティブな運動体なのである。
---
7-3 発話と潜在世界への影響
発話はまた、
潜在世界に対しても影響を与える。
たとえば、
> 「私は犬である」
という発話は、
現実世界では不成立かもしれないが、
潜在世界において新たな存在可能性を刺激する。
発話行為は、
潜在的存在を活性化させ、
それが未来に現象化する可能性を開く。
言葉は、
現実だけでなく、
潜在性にも働きかけるのである。
---
7-4 矛盾発話とゼロスペクトラム
矛盾する発話──たとえば、
> 「私は人間であり、同時に犬である」
といった表現も、
ゼロスペクトラム上では自然に解釈できる。
表面に現れる存在形態(人間)とは異なる形態(犬)が、
潜在世界において共存していると考えれば、
矛盾は解消される。
発話行為は、
ゼロスペクトラム全体を貫く存在ポテンシャルの運動であり、
それゆえに矛盾を内包しつつ存在生成に寄与するのである。
---
7-5 発話の究極的意義
発話とは、
ゼロ元素から立ち上がった存在ポテンシャルを、
現象世界に向かって具現化する運動である。
発話を通じて、
潜在的存在は表面化し、
現実世界は絶えず再編成される。
言葉とは、
存在を生成する力そのものであり、
ゼロと現実を媒介する根源的な運動なのである。
---
これが、
発話行為と存在生成に関する基本的な構図である。
次章では、
発話と存在生成における責任──
すなわち倫理的側面について掘り下げていく。
第10章 ゼロスペクトラムと存在密度
10-1 ゼロスペクトラムとは何か
ゼロスペクトラムとは、
ゼロ元素(完全な無)から始まり、
存在密度の増大とともに潜在世界、現実世界へと連続的に広がる、
存在の密度軸を指す概念である。
ゼロスペクトラム上では、
密度が変化するにつれて、
存在の様態も段階的に変化していく。
密度0%:ゼロ元素(完全な無)
密度0%より大きく100%未満:潜在世界(存在可能性)
密度100%:理論上の完全存在(現象世界)
このスペクトラムは、存在の全領域を一貫して貫いている。
---
10-2 存在密度と現象化
存在密度とは、
ゼロ元素からどれだけ存在が濃縮されたかを表す指標である。
密度が増大するにつれて、
潜在世界から現象世界へと遷移が起こり、
現実的存在が現れる。
しかし、密度100%に達することは理論上可能でも、
現実世界において完全な100%密度の存在は出現しない。
存在とは常に、
ゼロへの連続性を残したまま、
不完全なかたちで現象化しているのである。
---
10-3 発話行為と存在密度
発話行為は、
ゼロスペクトラム上で存在密度を局所的に変動させる。
たとえば、
ある発話が潜在世界に働きかけるとき、
そこに存在密度の高まりが生じ、
未来に向かって現象化が促進される。
発話は、単なる意味のやりとりではなく、
密度ポテンシャルを運動させる力を持っている。
言葉とは、存在密度を動かすエネルギー運動そのものである。
---
10-4 ゼロ密度の残留と不安定性
現象世界においても、
存在密度が100%に達していないかぎり、
ゼロ密度成分(無の成分)が残留している。
このゼロ成分の残留こそが、
現象世界における不確定性、揺らぎ、変動性を生み出している。
たとえば、
量子力学における不確定性や、
存在の曖昧さは、
ゼロ密度成分が完全には消失していないことに起因すると考えられる。
現象とは、
ゼロ元素から完全に独立した存在ではなく、
常にゼロとの連続を保持しているのである。
---
10-5 存在密度と宇宙の構造
宇宙全体もまた、
ゼロスペクトラム上における存在密度の分布構造とみなすことができる。
密度の高い領域では、
現象世界が濃密に展開し、
密度の低い領域では、
潜在世界の領域が広がる。
そして、密度0%に近づくにつれて、
ゼロ元素の純粋領域に到達する。
宇宙とは、
ゼロ元素から立ち上がり、
存在密度の濃淡によって織りなされる、
無数の世界の重なりである。
---
これが、
ゼロスペクトラムと存在密度に関する基本的な構図である。
【LCP 理論構築に関わる参考文献リスト(基本版)】
哲学・存在論・言語哲学
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』(Tractatus Logico-Philosophicus)
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン『哲学探究』(Philosophical Investigations)
マルティン・ハイデッガー『存在と時間』(Sein und Zeit)
エトムント・フッサール『イデーン』第1巻(Ideen zu einer reinen Phänomenologie)
ジャック・デリダ『声と現象』(La voix et le phénomène)
ジャン=ポール・サルトル『存在と無』(L'Être et le Néant)
ジル・ドゥルーズ『差異と反復』(Différence et répétition)
ソール・クリプキ『名指しと必然性』(Naming and Necessity)
ヒラリー・パトナム『心・言語・現実』(Mind, Language, and Reality)
ドナルド・デイヴィッドソン『行為と言語』(Essays on Actions and Events)
数学的思考・ゼロ概念・パラドクス
クルト・ゲーデル『不完全性定理』(On Formally Undecidable Propositions)
アラン・チューリング『計算可能数について』(On Computable Numbers)
バートランド・ラッセル『数学原理』(Principia Mathematica)(ホワイトヘッドとの共著)
ジョルジュ・カンギレム『ゼロの誕生』(La Naissance du Zéro)
物理学・量子力学・宇宙論
ニールス・ボーア『原子論と記述』(Atomic Physics and Human Knowledge)
ヴェルナー・ハイゼンベルク『部分と全体』(Der Teil und das Ganze)
ヒュー・エヴェレット『相対的状態の理論』(Relative State Formulation)
デヴィッド・ボーム『全体性と内蔵秩序』(Wholeness and the Implicate Order)
スティーヴン・ホーキング『ホーキング、宇宙を語る』(A Brief History of Time)
認知科学・人工知能・言語学
ノーム・チョムスキー『言語理論と心の哲学』(Language and Mind)
ノーム・チョムスキー『生成文法理論』(Syntactic Structures)
ハーバート・サイモン『思考する機械』(The Sciences of the Artificial)
ジョン・サール『心・脳・プログラム』(Minds, Brains and Programs)
ダグラス・ホフスタッター『ゲーデル、エッシャー、バッハ』(Gödel, Escher, Bach)
デヴィッド・マレブランシュ『意識と自己意識の認知科学』(Self Comes to Mind)
【言語認知物理学 第1編 用語集(第1版・定義付き)】
基本概念
ゼロ(Zero)
存在しないもの、無を意味する概念。宇宙の基盤となる潜在的場を成す。
絶対ゼロ(Absolute Zero)
物理法則も観測も成立しない、純粋な無の領域。根本的ゼロ。
ゼロ元素(Zero Element)
絶対ゼロを構成する最小単位。物理法則にも観測にも従わない存在。
存在(Existence)
ゼロ元素の密度増大により立ち上がる現象。現実世界を構成する基盤。
無(Nothingness)
密度0%の純粋なゼロ状態。存在も現象も一切成立しない領域。
潜在世界(Potential World)
ゼロ元素の存在密度が0%より大きく100%未満の領域。可能性として存在する世界。
現実世界(Actual World / Phenomenal World)
ゼロ元素の存在密度が理論上100%に達した領域。確定した現象世界。
存在密度(Existence Density)
ゼロ元素が存在する度合いを示す指標。密度が高いほど現象化が進む。
ゼロスペクトラム(Zero Spectrum)
ゼロ元素から現象世界に至るまでの存在密度の連続的な変化を表す軸。
数直線宇宙仮説(Number Line Universe Hypothesis)
宇宙を数直線状に連続するゼロ元素密度の変化としてモデル化する仮説。
---
関係式・理論要素
0=1の関係式(Relation of 0=1)
ゼロ(無)と一(存在)が本質的に同一であるとする大胆な仮定。
0≠1の立場(Position of 0≠1)
ゼロと存在を別物とみなし、ゼロを絶対的無として区別する立場。
矛盾集合(Contradiction Set)
ゼロ集合において、現実、潜在、無が矛盾を含みながら共存する構造。
背理法的アプローチ(Reductio ad Absurdum Approach)
極限的発話行為の消滅からゼロ元素の存在を間接的に証明する推論方法。
---
言語に関する概念
言語現象(Linguistic Phenomenon)
物理法則に従って生じる、発話などの言語的行為。自然現象の一種。
発話行為(Speech Act)
意味の生成と存在生成を伴う言語的な行為。現実または潜在世界に影響を及ぼす。
言葉と物の等価性の原理(Principle of Equivalence of Words and Things)
言葉(発話現象)と物(物理現象)が本質的に同一であるという理論原理。
言語の物理法則依存性(Physical Law Dependency of Language)
言語活動が必ず物理現象の制約のもとで成立しているという性質。
言語と潜在世界の接続(Connection between Language and Potential World)
発話によって潜在世界の存在可能性が開示・活性化される関係性。
---
存在論・現象論
存在生成(Existence Generation)
発話などの行為を通じて新たな存在形態が生み出される過程。
潜在存在(Potential Existence)
現実化していないが、潜在世界において成立している存在状態。
現象世界(Phenomenal World)
密度100%に近いゼロ元素集合によって立ち上がる、確定した現象的存在領域。
現象化(Phenomenalization)
潜在的な存在形態が、現実世界において明示的に成立する過程。
---
特殊概念・特殊現象
矛盾発話(Contradictory Utterance)
通常論理では矛盾する発話。同時に複数の存在形態を潜在世界に成立させる行為。
発話行為の消滅(Disappearance of Speech Act)
極限的発話によって言語行為自体が物理的に成立しなくなる現象。
ゼロ密度の残留(Residual Zero Density)
現象世界においてもゼロ元素成分が完全に消失せず残留している状態。
潜在世界の活性化(Activation of Potential World)
発話行為などによって潜在世界の存在可能性が刺激・強化される過程。
---
言語認知物理学1 草稿編 ジュン @mizukubo
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