灰燼に沈む世界で、サイボーグの傭兵がただ歩む、本格サイバーパンク譚!
- ★★★ Excellent!!!
一章~二章まで読んだレビューになります。
灰燼に覆われた世界を舞台に、サイボーグの主人公アッシュが依頼を請け負いながら機械兵器や組織の陰謀に立ち向かう物語。第一章からハードな空気感があり、義手や義眼がきしむ音、AIアリアの冷静な支援、荒野に潜む兵器の影といった描写が、サイバーパンクらしい緊張感をしっかり演出しています。
戦闘シーンも迫力があり、マシンや装備の描き込みは細かく、硬派な世界観に説得力を与えています。寡黙でハードボイルドな主人公像は好みが分かれるかもしれませんが、無駄を削ぎ落とした言動が彼の生き方を象徴していて印象的でした。AIとの掛け合いが加わることで重苦しさが和らぎ、読みやすさもあります。
一方で、序盤は機械の解説や戦術の情報が少し多く、背景や人物の動機の描写が抑えめなぶん、キャラクターに感情移入するには時間がかかるかもしれません。ただ、そこは“世界観に浸るタイプの作品”と割り切れば、むしろ魅力に感じられるはずです。
伏線や謎も多く仕込まれていて、主人公が背負う過去や、地下都市の女帝、機械兵器たちの存在がどう絡んでいくのか楽しみです。荒廃SFやサイバーパンク、ハードボイルドな物語が好きな方にはぜひおすすめしたい一作です。