時間屋さん

私たちは走って逃げた。

けれど、ゆらゆらとひっついてやってくる。追跡機能付き戦闘機のF35戦闘機みたい。

「あのおー、逃げないでください…。」

誰でも逃げるよ。

ああ、自己紹介してなかった。私はソフィア・ベッカー。よろしくね。走っているから、さらっと自己紹介。中2女子です。得意なことは運動。勉強は後回し。この度、転校生のユキと隣の席になりました。

「あ、逃げちゃうのなら、これだけ言っておきます。私は時間屋です。時間を変えられます。ただし未来だけ。あと、君たちの家の真ん中に住んでいます。」

そう言って、諦めたようにフラフラと歩いていった。

ユキが、変にボンヤリとしていた。

何か、小声で呟いていた気がした。でも、なんて言っているかわからなかったから、気にしないことにした。

レオンが言う。

「なあ、あの人に会ってみようぜ!面白そうじゃん!」

エルマーとエミリアが、え、危険だよ?と笑ってスルーした。私も、面白そうだし、好奇心というものが体を支配しそうだけど、怖かった。

ユキは、寂しそうに笑うだけだった。


帰ったとき、雪がおかしかったことに気づいた。

あの時間屋さんとやらに会ったとき、なんだか上の空っていうか、心ここにあらずっていうか⋯。表現はしにくいけれど、なんだかそんな物があったのだ。

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