突然ですが、恋の方程式を解こうと思います。

瑠璃

第1話 恋の方程式

「なあ、水原〜。一緒に帰ろうぜ〜!」

「おう、帰ろう」


 学校の友人に帰宅を催促され、俺こと水原みずはら希夢のぞむは友人のほうへと駆け出す。

 一応俺の紹介をしておくとすると、ごく一般的な男子高校生だ。成績は平凡で、友人もそこそこいて、ごく平凡な高校生活を謳歌している男子高校生だ。そう!男子高校生だ(強調)

 そんな俺だが、一つ悩みがある。それは……。


「あ……」

「……い、行こうぜ!」


 一瞬だけ一人の少女と目が合ったが、俺は見て見ぬふりをして、そのまま教室から去る。

 先ほどの女子は相澤あいざわ胡桃くるみ。俺の幼馴染だが、最近になって疎遠になっていた。特段なにかあったわけではなく、年を重ねるにつれて自然と話さなくなってしまっていただけ。よくある話だ。


「おい、相澤さんがお前のこと凄い顔で睨んでるけど大丈夫なのかよ……」

「き、気にしたら負けだ……」


 彼女は昔から内気で、視線で訴えようとすることが多かった。が、それを理解出来るのは俺だけで彼女の親でさえ無理なことなのだ。だから胡桃は俺に依存していた時期があったのだが、それは胡桃にとって良くないと思って俺から離れた。


「胡桃〜!か〜えろっ!」

「……うん。帰ろっか」

「え?なになに〜?水原くんのこと、また睨んでたの〜?」

「に、睨んでないよ!」


 胡桃の友人が彼女をからかっている会話が聞こえて来るが、後ろ髪を引かれるほどの内容ではないと判断し、そのまま廊下を歩いていった。


◇◇◇◇◇◇


 自転車置場の前に来て鍵を取り出そうとしたところに、鍵が無いことに気づいた。


「ヤベッ!教室に置きっぱか?」

「おいおい。何やってんだよ〜」


 友人がニヤニヤしながら揶揄ってくる。その顔がイラつくんだが……。


「悪い!先に帰ってていいから!」

「……おう、分かったよ。じゃあ、また明日な」

「あぁ。また明日な!」


 友人は自身の自転車に乗ってそのまま帰っていく。

 それを見送った俺はそのまま教室へと戻っていった。


◇◇◇◇◇◇


「あ、あった……!」


 軽く一時間は探したぞ……!

 教室にて鍵を探し回っていた俺はやっとの思いで鍵を見つけ、涙とともに鍵があったことに安堵をしていた。

 これが無ければ、俺は数キロを徒歩で歩くことになってたぞ……!


「さてと、帰りましょうかね……」


 鍵をポケットの中に入れたことを確認し、二回目の下校をしようと教室を去ろうとしたところ、どこからかボカンッ!という大きい爆発音が聞こえてくる。な、なんだ……!?

 聞こえてきたのは物理室……。なにかの薬品が爆発したのか……?

 と、とりあえず先生たちが駆けつけて来るだろうし、早く帰ろ〜。


「う、うう……。失敗したな……」

「えっ!?」


 なんか声が聞こえてきたんですけど!?

 物理室は俺の教室のすぐ隣にあるから声の主が少女であることも分かった。

 もしかしてさっきの爆発に巻き込まれて……!


「だ、大丈夫か!?」


 俺は慌てて物理室へと駆け出すと──。


「ん?」

「え?」


 顔を黒焦げにしてこちらを見つめる一人の少女がいた。

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