死にたがり執事と嘘つき聖女
兎神 入鹿
序章 俺とお嬢の出逢い方
第1話 死にたい
「金がない」
今日は給料日で、さっき金を口座から引き出して振り分けたはずなのに……。
「しかも来月の引き落とし足らなくないか?」
通帳を確認しつつスマホの電卓機能を使って計算すると明らかに4万ほど足らない……。
「とはいえ、これ以上金融会社から貸付を受けるわけには……。親は頼れないし……。どうするべきか……」
今現在、金融会社から90万程借りているのでこれ以上増えるのは非常にマズい。
「自己破産……」
したらETCもガソリンスタンドのクレジットカードも使えなくなるし、ローンが残っている車も乗れなくなってしまう……。
「車、取られるのは出勤するのに使ってるから非常にマズい」
頭の中でグルグルと考えるが答えが出ない……。
「いっそ何もかも諦めて樹海に行って……」
スマホで富士の樹海を調べると自殺の名所や樹海監視員といったワードが表示される。
「絶対に死ねるってわけでもないんだよな」
『自殺 簡単』とスマホで調べると『こころの健康相談統一ダイヤル』が表示されて下にスクロールするとNPO法人や厚生労働省のサイトが出てくる。
両親は離婚していて連絡を取っているのは母親だが、今年で還暦だ……。そんな記念の年を台無しにはしたくない……。
まとまらない考えを捨て置き、とりあえず帰路に着く。
どうするべきなんだろう……。
「やっぱり自己破産かな……。車は現金一括で安い軽自動車に乗り換える形にして……」
ウィンカーを左に入れて左折をしたら俺は牢屋の様な鉄格子の中に居た……。
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