パフォーマンス
抹茶ちゃふくについちゃっちゃ
爆ぜる
大量の人を乗せたジープは砂が混じって焦げている道をずっと走っていた。
そこに乗る全員は、重い表情ばっかりでとても暗い。
やけに静かだ。これからやっとこれた場所なのに。国のために頑張れるというのに。
「お前ってばすごいな...こんなところにまできて元気なのは」
そう、友人がささやいてくる
「やっとの思いで来たんだ。喜ぶべきだよ」
「ハハ、そんなのはお前だけだよ」
周りの全員が同じ反応をしている、まるで俺にあきれているようだった
俺の国の周りでは戦いが起きているらしく、今回前線の部隊が負傷したので、残っていた俺たちが代わりに派遣されたようだ。
せっかく出れたというのに、なぜなのだろうか。
訓練所の訓練はとても大変だ。毎日20kg程の重りを持って、走る訓練を行っている。
でも実践となると銃を使うはずなのだが、今思うとなぜなんだろう。
と思いながら乗っていれば、自分たちの基地が見えてきた。
しかし、カツッ カツッ カッと変な音が、下から聞こえてきた。
運転手が出てきてタイヤを確認している。どうやらパンクしてしまったようだ。
俺たちは、降りて向かうことにした。重いバッグと一緒に。
こんなところで体力を使うわけにはいかないのに...
へばりながらも、なんとか基地についた。すこしの道であったが、長く遠く思えた。
後ろを振り返れば、荒野しか見えず周りには何もないようだ。
「お前らにはこれからこのボトルを持って戦場に出向いてもらう。このボトルの中には戦車用の地雷が入っている。それを設置して戻ってくるのがお前らの仕事だ」
指揮官がそう声を大きくして皆に伝える
今は地雷など到底作れないし、それにほかの国は全部敵対している。
どうやって手に入れたのだろうか。
そんなことを考えながら聞いているとある一人の隊員が質問した
「敵の妨害等は大丈夫なんでしょうか?」
「今はある一部の敵国と停戦条約を結んでいる。そう今こそが反撃の時なのだ」
あまり頭がよくない俺でもわかる。自分たちが行うことはよくない事だと。
堀の下で、ライフルとボトルを2個持って待っていた。
「さっきまでイキってたのに、もう怖くなったか?」
「イキってねーよ...ただ町が心配で」
「母親のことだろ?町に一人残して行くってのはつらいよな。」
友人が俺のロケットペンダントを見つめる。
「母親は耳は聞こえないし言葉も発せない。だからこそ母親が何にも被害を受けずに、自由生きれる世の中が来てほしいと願ってる。だからこそ戦う」
「それは、みんなそうよ。でもみんな帰りたいと思っている。ほら見てみろよ」
少し離れた隣には、泣きながら写真に顔をおいている人がいた。
「中には自分自身が親である人たちもいる。本当はこんな危ないことをしたくないんだ。もしかしたら、命を落としてしまう可能性がでかいからな。子供をおいてはいけないのさ」
「...なぁ...これ」
なんて聞こえてくる。なんせ実践は全員初めて。実物を見て驚くのも不思議じゃない。それに、みんながなぜ苦しい表情をしているのかがわかった。彼らはさらに顔が固まっていた。
「さぁ、そろそろ時間だ。行くぞ」
友人が声を大きくして皆に伝えた
俺らは兵を上がり重いボトルを上げる
周りを確認し、誰もいないのを確認。一人ずつ草のない平地を走り始めた。
みんなは不安そうな顔をしながら走る。さすがに俺も、同じように感じた。
だって、守ってくれるものはすぐ壊れてしまいそうなこのヘルメットだけだから。
目標地点は少し遠くの場所。この国の端にある一本の軍用道路に設置する
俺たちは必死に走り、息が途切れても走った。
すこしして、遠くに道らしきものがやっと見えてきた。
「あ!あそこだ!」と隊員が声を出した。
みんなは力を振り絞り、道まで足を運ぶ。やっとだ。やっとの思いで着いた。
周りが少し明るく見えた。体全体が喜んでいるのだろう。それに空には飛行機が飛んで...
飛行機...?
何かが高速で飛んできている...?!
ダダダダダダッ!と音が鳴る方向を見ると血しぶきを上げ、衝撃で体を前にのけぞる隊員がいた。
「戦闘機だあぁ!」
他の隊員は、ライフルを連射し戦闘機に弾を打ち込んでいたが、しかしそんなものは効かないように見えた。
「死ぬわけにはいかないんだッ!」
そう叫びながらライフルに弾を込めるも、マガジンがうまく入らずカッ、カッッという音だけなった。
一人、また一人と叫びながら、助けを求めながらやられていく。俺は見捨てて、ただ逃げることだけしかできなかった。
目的地の軍用道路に着いた。だが、俺は途中で落としてしまったようだ。周りを見ても誰も持っていな
「——————————————————————————————」
突如、耳鳴りが起きた。
遠くから見えた。飛ばされた煙と一緒に飛ばされた赤い塊だけが飛び散っているところを
「——————あ゛あぁ」
煙が消えて、その隊員の叫び声が聞こえるようになる
そこには、
「おぉ゛おぅぇッ゛」
音を立てながら、口から、目から、鼻からこぼれる。思わず倒れる
そこには、顔が焼けて目を開けたまま横たわっている体の中が見えて...い...た
一体、何が起こってい
「おいいぐぞ!」
友人の言葉で意識を取り戻した、そんなの考えてる暇はないと背中を押されてまた走り始めた。
いくつもの大きな音が俺を囲むように、右左前後から聞こえていく
より奥のほうをみると袋が見えてくる、あそこに窪みがあるはずだ
目に砂が入ろうが、かまわない。耳は聞こえなくてもかまわない 今はそこまで走るだけだ
足はもう限界に近かった。でも足を必死に振り回す、そこまで走る。走れ。走れ。はし
「————ッ!」
そうだ、友人。あれどこだ あたりをみわたしてもいない
いきがあがる どこだ どこだ あ
うしろをみるとぼとるをもったやつがいた
「走れ————!」
かぜがおおきくこっちにむかってくる うしろにうしろに!
はしるはしる あしをあげろ うごかせ
うごかせ うごかせ う
あな あなにはいった
あれ どこだ あいつ あいつ まって たおれてる からだ あか
てをのばせ てをのばせ て
…
…
…
…い
お...い
いくぞ!!
「ンはっ...!」
ハァハァと息が続き始める
あいつの声が出た。...聞こえただけだった
そうだよな。そうだよな。そうだよな、目の前で地べたに倒れてるから、倒れてるだけだから。ただ倒れてる。そうだよ。そうに違いない。そうに決まってる。そうでしかないんだ。
そらがにじむ。奥のほうを見えなくする
上から落ちるヘルメットには傷がついていた
膝がすこし濡れる、暖かくなる同時に痛くなる
俺は俺に殺しを求めてるのか。手を見れば、周りと変わらない匂いが鼻に感じる。
足元にはいまだに湿った土がズボンをさらに濡らす。
ぽたぽたと音が聞こえる。目の前であいつの指から全身が濡れていた。あぁ濡れているだけだ
あいつが最後に握っていた、ボトルは破壊され中から大きな石が入っていた。
「石...か、そうか...」
異様に重かった、集中してて気づかなかったのか。
初めて、わかった。あの時、絶望した顔色を見せた兵士は、さらに顔が固まったのか。
なぜ、実践にも出たことがない俺らが派遣されたのか。
地雷を作るの技術なんてこの国は、ないはずなのに。
十分この事実をたたきつけられた。俺らは最初から騙されていた。隠されていた。
「地雷を処分させる」、ただそれだけに使われたのだ。
さらに湿る。気づけば、顔も体も濡れていた。手を握っていた。その手は俺とは違いただ冷たく、冷たかった。
「——————————————————————————————ッ!!!」
出た声は、よく聞こえなかった。誰にもさえも聞かれない。
その場でただ、うずくまる。声を最大限だしながら
これが今の俺にできる、最低限のかぎり。
「アハハハハハ——————————ッ!」
いろんな感情が混ざり、笑いさえもこみ上げてきた。
笑うな。笑うんじゃない。笑うな!
ダダダダダダダダダダと空に向かって撃ってやる。撃ち落としてやる。許さない!
ガリッ 何かを踏んだようだ。ひとしきり打ち終わりライフルを投げ捨て叫びまくってた俺の
下を見れば、母さん。
母さん。
俺は何かにとりつかれたかのように、元居た場所へと足を運んだ
どこかもわからず
パフォーマンス 抹茶ちゃふくについちゃっちゃ @JunTanaka
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