第4話


 「聖子どの…と、申すのか。 えらいべっぴんさんやな? なんというか、前に夢で見た観音様に感じが似ておる。」

 「そ、そんな…お世辞でもうれしい」

 アタシも照れて真っ赤になっちゃいました。

 「タケゾウさんって、もしかして、あの、有名な宮本武蔵ですか? 同姓同名? アタシは、今から500年くらいの未来から時間移動してきちゃったみたいなのよ」

「じかんいどう? 時を飛び越えてきた? アタマは大丈夫か? 」

 タケゾウさんは怪訝というか、世にも奇妙なものを見る、という目つきでしげしげこっちを見る。


 「信じてもらえなくてもしゃあないわね! ま、それは置いとくけど、いろいろ事情があって、アタシはどうもここで生きていくしか選択肢がなくて、で、誰かの世話にならなくちゃしょうがない。 身寄りも何も、ぜんぜん天涯孤独で、右も左も、真っ暗闇です。 だからねえ、素敵なおさむらいさん、アタシを身寄りにしてくれない?」


 「よくぺらぺらしゃべるおなごじゃのう! ワシは、元気がいい利発なおなごが好きじゃに、気に入ったぞ! よし、ワシのうちにしばらくいなされ! 取って食いはせんからな!」


 「ありがとうございます! 大好き!」

思わず、宮本武蔵?さんに、アタシは直情径行に飛びついてしまった! 武蔵さんはよろけながら、それでもまんざらでもなさそうににやついている…


 奇遇すぎる二人の、おかしな共同生活が、こうして始まったのです…


<続く>

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