第2話
「もなかってさあ、ぶっちゃけキラキラネームだよね」
ある日小早川もなかに突然尋ねられ、朔は怪訝な顔をした。
曜が騒いでいたので、もなかのことは入学初日から嫌でも認識していたが、一年のころはたまに話をするクラスメイト・または知人くらいの距離感で過ごしていた。
ただ二年の冬くらいに曜ともなかが付き合いはじめ、三年になってからは朔ともなかは特進クラスへ進級し、さらに席も隣同士となったので、自然と話す機会が増えたのだ。
「……まあ、変わってはいるかな」
「だよねえ。しかも和菓子かよ!洋菓子とかじゃないのかよ!けえきとか、くっきいとかじゃないのかよ!みたいな」
「……そんなペットにつけるみたいな感じでいいの?」
朔の返答に、くつくつともなかは喉を鳴らした。
もなかは朔が想像していたよりもユーモアに溢れる女の子だった。
生徒会に所属しており頭脳明晰、運動神経抜群、それでいて性格も良いとなると逆にとっつきにくいなと思っていたが、彼女はよく忘れ物をしていたしミスや失敗もしていた。それでも完璧そうに見えるのは、もなか自身の努力だった。
「それ、曜に聞いてみた?」
「みたみた」
「何て言ってた?」
曜の話になると、自然と二人とも笑顔になる。この場にはいないのに。そんなところに、もなかも惹かれたのだろう。
「可愛いじゃん!!……って。」
「はは、直球すぎ」
言っている姿が目に浮かび、思わず吹き出してしまう。
もなかは静かに朔を見つめた。
「朔君てほんと、曜君が好きだよね」
静かなつぶやきに、朔は少し視線を逸らし窓の外を眺めた。
雲ひとつない晴天だった。しばらくは晴れが続くでしょう、と天気予報でも言っていたっけ。
「まあね」
頬杖をついたまま、朔は答えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます