第三章 セゾンⅡ

Episode 027 そして、新たなる季節へ。


 ――夏休みの後半。


 まだ水着の跡が残っている頃、新たなる息吹が吹き込まれた。


 それは何か?


 迫りくる日常の変化。それが、季節の変わり目。


 さあ、想像してみよう! 今までとは違う何か。



〝私、学校へ行くことになったの。これでアンさんと同じだよ〟



 リンダは瞳を閉じ、静かにそう語った。夏の終わりを少し待ちきれないような、秋の訪れにも似たような感じで。青い夏のイメージは、紅の秋のイメージへと変えていった。


 でもその前に今日、歩みゆく学校への道程……


 そこでは青春を飾るアンたちバスケットボール部の物語も行われている。チーム名も僕とリンダで名付けていた。――セゾン・チームと。


 モーターボートが可変するリアルロボットたちの戦いの日々が、僕らのイメージを映像化して脳内に広がる。それをリンダは描く。僕は物語を創って。


 とっても、良いコンビ。


 到着した学校は、一貫としたものだった。それはとても斬新。リンダは十二歳。ア

ンは僕と同い年の十五歳で、因みに僕は、永遠の十五歳だけど……


 つまり学校は中高一貫だった。それは大変珍しいものだった。


 そしてリンダの横を歩いているのは、大人の男性。白いスーツを身に着けている。それに合わせたシルクハット。とても派手な外観。リンダは彼のことを『館長』と呼んでいたから。僕はその瞬間、艦長と解釈した。セゾン・チームを率いる人。


 どうやら学校の手続きということ……僕にはまだ、わからない話。


 大人の話で、入った一室は職員室ではなく応接室みたいなところだから、校長室という一室ということになる。何しろリンダには、色々と複雑な事情があるようだから……



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