Episode 025 そう。使命の名のもとに。


 ――さあ、創作だよ。


 リンダの声が響いた。それは心の声。イメージという映像と共に、今描かれる。



 まずは下書きから始まる。リンダの手によって鉛筆は滑る。とても繊細な絵だ。それとは裏腹に、大胆な演出。プロットを悉く覆している。それもその筈、先程まで見ていた光景が鮮明に残っている。それは、僕の描いていたプロットを覆しているから……


 学校の体育館で行われていた試合は、アンたちが勝利した。


 その試合はバスケットボール。ポートボールにも似た内容。


 見事なる攻防戦が繰り広げられていたから、その模様を画面狭しと、ロボットたちが動いていた。海上を滑りながらパスを繋いでいく。線を描くように運ばれるボール。



 ――そこは同じ。


 ロボットが奪い合っているのは、ボールなのだ。そのボールは弾丸を意味している。装備されている武器はライフル。リアルロボットの定番ともいえる武器なのだ……


 ボールを手にした者が、攻撃の権利を与えられる。ボールをライフルに込めて発砲するのだ。これは、そんなスポーツ。そして守っているのは、ゴールと呼ばれるもの。


 それは、母艦を意味している。


 五人の乗り込むロボット……モーターボートにも可変するから、ここからは機体と呼ぶことになるけど、その機体の名は『セゾン号』と呼ばれる。五体とも同じ名称だ。


 しかしながらカラーリングが違う。


 茂者もじゃが搭乗する機体が白に赤なら、アンは白に青の機体。あとは白をベースにし、黄色に橙色、黒色もある。そしてモノアイがギラリと光る、後頭部に伸びた鶏冠が特徴的な頭部は、緑色で統一されている。マリンスポーツらしく、口元にはパイプが付いている。


 バックパックからも、パイプは胴体に繋がっている。


 そして今日行われたのは初戦だから、このチームも誕生したばかりなのだから。



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