Episode 024 戦う目的は青春の一時に。


 ――戦う理由。それは個々の胸の中に。


 平和を守るという大義名分を掲げる中にさえ……



 戦おうという気持ちに満ち溢れている。


 好戦的種族? いや、それは守るべき仲間のため、愛する者のために。ならば、やはり平和を築くことだ。このように、ロボット同士が戦わない世界へと。


 すると、リンダはそっと語り掛けてくる。


『これは戦争じゃないの。スポーツだよ。そう。ロボットを使った未来のスポーツ』


 衝撃にも似た感情が生まれる。


 脳に電気が走ったような感覚。思いもつかなかった発想が、そうさせたのだ。


 これは僕にはなかった発想で、リンダだけが持っていた発想。……不思議だ。僕とリンダは脳で繋がっている筈なのに、これだけは見つけられなかった。僕は戦いイコール戦争という固定観念に捕らわれて、スポーツという考え方がなかった。



〝ならば、リンダはこの思想をどう展開していくのだろう?〟



 その答えに至るまで、そんなには時間がかからなかった。


『――だから、君と一緒に創作してるんじゃないの』


 響くその声。そしてハッとなった。


 心が震える程に、今ここにいる僕の存在理由……


 本当の意味で手を取り合う瞬間だった。リンダが抱えているもの。誰にも言えずに一人きりで。それは僕が、かつて感じたことのある、よく似たもの……


 本当は、それを探すために創作をしていること。思えば『かつて』ではなく、今も感じていること。そうならば、僕とリンダは同じ目的で今、この物語を創っているのだ。


 僕は思った。――リンダに会えて良かったのだと。



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