Episode 022 だからこその追跡や取材。


 ――リンダは歩く。少し距離を置いて。



 アンを追跡している。彼女のことをもっと知りたくて、足を使った取材に踏み込んだ。


 そして今、彼女が何をしようとしているのか……その舞台は学校だった。


 そこには仲間がいた。彼女を取り巻く仲間たちだ。


 ユニホームを身に纏っている。その色は白。背中の番号は青。そして茶色ではなく橙色に近いボールが転がっている。特徴的なライン、或いは模様とも解釈できるそのボール。


 そのボールを中心に、あるスポーツが始まろうとしていた。


 それは……


『見て、ポートボールが始まるよ』と、リンダが言うものだから、


『あれはバスケットボール。ほら、左右にバスケットがあるだろ』と、僕が教えると、


『……何か違うね、よく似てるけど』と、リンダ。


 リンダは、そのスポーツを観察するように、そっとメモを取り出した。


 彼女は夢中になっている。


 リンダが観察する中、五人のメンバーが練習をしている。アンと、その取り巻きの五人だ。ボールが流れるようにパスで繋がる。その軌道は、まるで星座のようだ。


 ――ううん、違うよ。


 ハッとなった僕は、リンダに『何が違うの?』と尋ねた。


『アンさんの動きはね、航海だよ』


『航海?』『そう。私の憧れだよ』


 と、傍から見ても、リンダにとっては、それが憧れの姿に映るらしい。ならば、この体育館は海に例えられる。


 マリンスポーツに見えるのなら、リンダがポートボールと言ったのも頷ける。そうであるなら、アンはポートボールからバスケットボールへ転向したのかもしれない。


 ――そこからまた、僕の中で物語が展開されていくから。



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