Episode 018 出動! セゾン号の誕生。


 ――臨むのは、遥かなる海原。


 その平和を守るため、我らがここにいる。



 ついに結成、セゾングループ。


 僕の意思は、リンダを通じて描かれる。これから始まる大航海の物語。七つの海を旅していく。この物語の主人公はアン。一台の可変型モーターボートを手に入れた。


 何処から入手したのか?


 それは初夏という季節が、そっと贈ってくれたもの。色は、この広がるマリンブルーに溶け込みそうな緑色。アンは快調に飛ばし、水飛沫を巻き上げながら、水面をダンス。


 そしてその贈られたものには、使命が宿っていた。


 ただの贈りものではなかったのだ。試練は現れる、季節の変わり目が呼ぶ、行く手を阻む者たち。何者かはわからないけど、息を吐く暇もない程に攻撃を仕掛けてきた。その武器は飛び道具。破裂するミサイルの大群。モータボートは軽やかに水面を走った。


 大群にも拘らず、見事に躱した。


 相手をよく見る。異形……鳥足にミサイルポットを装備した胴体。手はなかった。動きは速い。モーターボートもすぐ追いつかれそうな程。


 でも、動揺することのないアン。


 普段からクールなイメージ。青と白のパイロットスーツに身を包み、ニヒルに笑みを浮かべる。すると何? モーターボートは変形をした。


 とてもモーターボートから変形したとは思えない形状にまで至った。ギラリと赤く光るモノアイに、ガスマスクのような感じの口元にはパイプが繋がり、バックパックから胴体にも動力パイプが露出していた。この機体の特徴は、何と言っても後頭部の伸びる鶏冠。


 ブレイドアンテナと称している。これが僕とリンダが創り上げたロボットだった。


 この世界のアンへの贈りもの。――その機体の名は、セゾン号と言った。


 彼女にとって、初めてのロボット戦。戦いの幕は今日をもって切って落とされた。



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