Episode 017 スボーツは、爽やかな風。


 ――僕が抱いたアンのイメージ。


 それは、白いシャツに水色のジャージで浜辺をジョギングする姿。



 ここは見渡す限りの海。爽やかという言葉がよく似合っている。なら彼女が搭乗する機体は、やはり海を駆ける乗り物が相応しく。五人でチームを結成して戦ってゆくことに。


 そこで、リンダの記憶を覗けば、


『ポートボールみたいな感じのバトル?』と、彼女は僕に尋ねた。


『そう。各チームごとで試合を組む内容』と、僕は答えた。僕がアンにイメージを抱いたのは、まさにそのポートボール。小学生の時に、体育の授業にあった思い出も含め……


『舞台は海ね』と、リンダは呟くも、


『大航海を描くよ』と、僕は言った。


 描くものはまず、海を駆ける乗り物。それが可変してロボットになる。初期は緑色。モノアイや動力パイプ、丸みを帯びたフォルム。ロボットというより人造人間とも解釈できそうな感じ。コクピットはお腹の中で、心臓のような鼓動が聞こえてくるとの感想……


 そして乗組員のコスチュームは、やはりマリンルック。


 少しばかり捻ると、どうしてか社会現象にまで発展したロボットアニメに似てきた。それだけではなく、古代活躍した戦艦たちが宇宙に飛び立つアニメにも似てきたから……


 一旦リセット。


 その続きは、またセゾンの館に戻ってから。


 アンが、その建物の管理者と思っていたけど、ちゃんと大人の人が管理をしていた。アンもまた、リンダと同じく預けられた子の一人。リンダはそうだったけど、


『アンさんは違うの。ダディやマミーがいない』


 と、リンダは言う。寂しそうに。そして館には、この二人以外にも住人がいるし、出たり入ったりも多々あるそうだ。アンみたいなケースも珍しくなかった。彼女は、館の前に置かれていた。ここで彼女が育ったと言っても過言ではないのだから。



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