Episode 009 それは、黒色の異次元へ。
――ドアを開けた瞬間、その向こうには、昨日までとは異なる世界が広がっていた。
一学年上がり、クラス替えが行われた。
その結果、見知らぬ顔ぶれが集まった。
更に大きな問題として、担任の先生まで変わった。ハッピー先生は、自分のクラスを持つことなく、異なる学年の遠いクラスの副担任となってしまった。
でも、もう以前の僕とは違う。
あの夏、雷の中でハッピー先生を守ったことは、恥ずかしくも誇らしい想い出だ。それがキッカケで、自分に少しずつ自信を持てるようになった。
そしてその自身に後押しされるように、僕は創作にのめり込んだ。
オリジナルの漫画にも変化が現れた。映像化を意識し、アクションシーンが多い物語を描き続けている。バンプラのようなリアルタイプのロボットが戦うストーリーだ。
でも、登場するキャラクターたちは、平和を望んでいる。
この教室のドアを開ける度に……
僕の戦いは始まる。まるで宇宙のように広がる黒色の異次元。喩え、机の上に花瓶が飾られていても、僕は気丈に振る舞った。今回は、クラス全体の標的となっていたから。
授業の時間は唯一安全な時間だった。
しかし休み時間になると、いじめという『戦闘の時間』が始まるのだ。
僕は暴力を振るわれても、絶対に暴力で答えなかった。平和を望むからだ。でも上手に話術で切り抜けるスキルも持ち合わせていない。耐えることだけが、僕の選んだ道だ。
教室で、その中心となるのが五人。男子二名、女子三名……
夏休みの前日に、その五人の中の
ミッションというのは表向きの言葉で、実は万引きを意味しているのだ。
「明日、ウォークマンをパクッて来い。もしパクってこなかったら、わかってるよな?」
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