君と創作少女シリーズ!

大創 淳

序章 創作が始まった日

Episode 001 それは、白い朝靄の中で。


 ――薄っすらと見える白い世界。


 あれは、僕が小学四年生だった秋のこと。


 春に桜が咲くように、今は秋桜コスモスが盛んな季節。とても静かな一時だった。


 君と出会ったのは、そんな時だった。


 遠い海を渡ってきたかのような青い目、風になびく栗色の髪……


 そして白と青のマリンルック。


 まるで、とある旅物語のように、君は敬礼をしていた。


 その姿がフィルムを通して感光するように、僕の心を焼き付けていった。


 ――そうして、僕の日常は色彩を帯びていった。


 君は本当に存在するのだろうか?


 それさえ解らないけど、これから歩む君の物語に僕は寄り添おう……そう思った。


 そこから始まる創作少女の物語。


 それは、君と共に歩む創作の旅。


 広大な海原を進み、航海が始まる。――その光景は瞬く程だったかもしれないけど、そこからの旅路は、僕の人生に多大な影響をもたらした。それ程の出来事だった。


 ……夢?


 目覚めたら、お布団の中。カーテン越しにボンヤリと光が差し込んでいる。見慣れない間取りが異世界を思わせたけど、すぐに思い出した。――そうだ。ここはお父さんの仕事の関係で知り合ったお友達、あっちゃんのお家だ。あっちゃんは僕より一つ年下。お友達というより親戚みたいな関係だ。


 ……僕にお友達はいない。学校ではいつも一人。でも、別に一人でも大丈夫だと思っていた。少し考えたら何だってできると思っていたし、誰かに迷惑かけることもないから。


 僕に取柄なんてない。


 勉強だって得意なわけじゃないし、運動は皆の足を引っ張るほど苦手だった。でも、この二つの出会いから、僕は創作への憧れを育むキッカケを得たんだ。



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