【SS】待ち人

壱乗寺かるた

待ち人

「言っとくけど、誰にでもこんなことするんじゃないからね」

 どこか怒ったような様子で、彼女は手際よく、ブラジャーのホックを止める。

 シャワーを浴びたばかりの肌は桃色に染まり、濡れた髪は先程までの出来事を思わせる。

 

 なぜ僕が選ばれたのか――聞いたところで教えてはくれないだろう。

 そもそも今の僕には、何か尋ねるだけの手段は無い。

 できることといえば血に染まった部屋で、警察を待つぐらいのものだから。

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