怒涛



独りでね、家にいるとね、どうにもならない

淋しいのじゃないし、楽なんだけどねえ

どうしても、俺が燃えるようにお前を犯してしまうんだよね。

これって、悲しい事実でねえ

仮の姿、即ち虚像でねえ

フィクションの世界なんだって。

「いつかお前を」って気持ちは、どれも欲望に満ちた餓鬼のような夢の世界だ

僕はいったいどこで息をしてるんだって気分になるよ。


憎んでる

君と出会ってからこれまでずっと

憎い憎い憎い憎い憎い


どうしてなのか、僕にもさっぱりわからないよ。

もし僕がねこの世で、一生懸命生きて、とうとう嘘をつきとおせたなら、

僕はね、自分から君を守ることができたんだと

この命を誇りに旅立つかもしれない。


家族に見守られて、火を着けられて、愛されて、惜しまれて死ねる…

けれどもし、僕がそこで欲を口にするなら


僕の遺骨は、便所に流してくれたら…

せめて楽になれるかなって、思うよ。

もしかしたら、りっぱな墓石を立てて貰えるのかもしれないが。


「謙虚に生きねば」と自分は言うけどさ

いつもいつまでも、僕は僕のまま

自分からお前を切り離せないんだよ。


だから、もう一人の僕がナイフを持って、

お前ごと僕を引っぺがそうとしている。

この涙は、その痛みに違いないんだねえ

心臓なんて僕に在るはずないのだから。

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