幸せなまどろみ「プロローグ」
奈落柩
プロローグ
遥の葬儀が終わった。
死因は急性呼吸不全だった。
俺が玄関の小さいスペースで換気もせずにスプレを巻いてから仕事前に用事を済ませに外に出たらその間に滞留していたガスと遥が巻いたガスが肺に入りそれが呼吸困難に陥らせたようだった。
俺は最初寝ているのかと思った。こんなところで寝るなんて風邪ひくよって声掛けて揺すった。まだ温もりがあった。まだそこに遥はいたのかもしれない今となってはもう分からない。どんなに声をかけても揺すっても起きない。異常事態だと思って慌てて119にかけた。慌ててて何を言ったかよく覚えてないけど胸は動いていますかと聞かれ、触ったら動いてなかった。消防の指示に従ってとにかく心肺蘇生を試みたが間に合わなかった。
間に合わなかった...。
どんどん冷たくなる遥。
葬儀が終わり帰る際、遥の両親には「あなたがついていながら...」と言わてしまった。
そりゃあそうだ
(俺がついていながら)
(俺がついていながら)
(俺がついていながら)
(俺がついていながら)
(俺がついていながら)
遥との思い出の詰まった玄関を開け遥が倒れていた場所を見つめる
「くっくっくっくっ」
「あははははははははははははは」
「そう!俺がついていながらだよ」
「俺がついていたからだよ!」
そこに取り出すは1枚の契約書
怪しまれないようにそこそこ高く設定した掛け金で受け取り人には駿の名前で契約した保険の契約書。
遥はまだ若かった。若くして死んだ。いや、俺が殺した。
失意に落ちたように葬儀の準備を粛々とする俺は何も疑われずに事故死で片付けられた。
事故死になったため、保険金はさらに倍近い値段になり、多少税金で抜かれはしたものの約2億円がまるまる俺のものに。
そして、今俺がいるマンション、遥名義でローン契約してたから団信のおかげでローンもチャラでマンションもまるまる俺のもの。
「あぁ、だいぶ人生イージーになったなぁ」
「なぁ、あやね」
そこに居たのは長い髪に清楚系のワンピースを着た女性。
そう、遥がたまたま見かけてしまった女性その人。
「やっと邪魔な女が消えてくれた。ふふふこれで2人で暮らせるね!」
「たしかに少し長かったけど2億とマンション一室が手に入ったんだ利益効率としては最高だろ」
「まぁ、そうだね。最後まで信じきってたでしょあの女」
「あぁ、傑作だった」
―――――――――――――――――――――――――
最後までお読み頂きありがとうございます。
奈落柩です。
あなたは最後まで駿を信じ切ることが出来ましたか?
人はみなペルソナを被っています。
遥があの時見た女性についてもっと深く追求していれば...。遥が1度裏切られたのであれば次はもっと疑っていれば...。たらればを言ったらキリがありませんね(笑)
そうですね。物語なので最後に一言締めくくるとしたら、"あなたはくれぐれも大切な人のペルソナを剥せることを切に願っています"
改めまして筆者の最後との会話にまでお付き合い頂きありがとうございます。
奈落柩でした。
ご縁があれば次回作でお会いしましょう。
サヨウナラ
幸せなまどろみ「プロローグ」 奈落柩 @Naraku_Hitugi
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