真白き蝶
朧
第1話
夜な夜な、夢の中で現れる蝶。
その蝶は、薄くて繊細な羽根と、長い触覚をゆらゆらと揺らしながら、私を過去へと誘う。
夢の中で私は幼な児となり
頼りない小さな魂は、朽ち果てた庭の草むらにしゃがみ込み、静かに泣いている。
その庭を光に透き通る白い蝶が舞っている。蝶は 私の心の奥底に眠る記憶の断片のように、ゆらゆらひらひら……
不確かで儚い動きで、私の周りを飛び回る。
夢の中なの?
それとも現(うつつ)?
夜な夜な現れて
失われた記憶の迷宮へとわたしを誘う蝶_
記憶の奥底_
それは、かつて私が愛した、しかし、今は失われてしまった、大切な何かへの切ない憧憬。
私は長い時間、泣き続けた。
真白き蝶 朧 @oboto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます