生きる

@yayoi_yui

第1話

生きていく。


過去を永遠に引きずって。


誰かの放課後みたいな人生だった。奇跡を手放し、自分を否定し、ようやくつかんだ安定だった。


それを捨てた。いらないと思ったからじゃない。


いや、少し思ったか。


それと引き換えに手に入れたものは、たった数瞬の夢だった。捨てたものに対してあまりにも見合わない見返りだった。


それに自分から捨てたわけじゃない。


捨てられた、という方が正しい。


全く馬鹿な話だ。馬鹿だ、馬鹿なのだ。


余った残りは永遠に続いていく地獄のみ。そして、その事が今日ようやくわかったのだろう。


自分には需要がない。


簡単な話だ。誰からも求められていないし、俺も誰も求めない。


芯がない空っぽ人間。


試しに探ってみたが中身は無さそうだった。


どんな場所にいても、何をしていても、空っぽだということを実感させられるだけ。


取るに足らない存在に成り下がり、自信はとうに朽ち果てた。


そして、それを共感できる人間を探し求めている。そんな自分のことが堪らなく気持ち悪い。


乾いた心は水を求める。自らの飢えを満たせる何かを探して、砂漠を延々と彷徨う。


それは生きる理由を他人に委ねてきた者への罰なのだろう。


残ったものは絶望のみ。


震えが止まらない。


止めどない不安と共に、体の芯から振動が起こってどうしようもなくなる。


死にたい。ここで全て止めたい。過去を置いて行きたい。しがらみから解放されたい。


絶望の炎に焼かれ、ずるずるになった体はそれでも愛を求める。その姿はさながら盲目の犬のようだった。


どこにあるのかもわからないものを、きっとそこにあるのだと信じて進む。


だが、今日、犬は歩くことをやめた。


復讐の鬼は、歩みを止めるな、と繰り返す。だが、哀れな犬は精魂尽き果ててしまった。初めて犬は鬼の命令を無視した。


寄り添いを求め、他人を信じ、意思をあえて薄弱なものにする。馬鹿だった。


心の中で何処か理想を描いていた。同じ目をした繁殖対象。通じ合える存在がいること。


だがどうやら俺の見ている世界と、求められる側、の見ている世界は違うようだ。


話に聞くところによると、世界はどうやら輝いているらしい。


異議を唱える。その姿はそんなもんじゃないと。


ただひたすらに重苦しい。それが真理で全て。


どうしても性欲が邪魔だ。


求め合う心は自制できるが、どうしても醜い欲望は捨てることができない。


♦️


死ね。


早く死ね。


永遠の不幸を心より願っています。


消えてなくなれ。


お前だけは殺してやる。躊躇無くやれる。


醜く薄汚い蛆虫。馬鹿でどうしようもないクズ。


馬鹿が。消えてなくなれ。


殺意が止まらない。殺したくて殺したくて仕方がない。


糞が。


……………


精神すり減らしてなにやってんだ。馬鹿じゃないのか俺は。


震えが止まらないんだ。


殺してくれませんか。

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