足ある君は、
君に許しを乞われると、いったい君は何も悪い事をしていないのにどうして謝っているんだ、と不思議に思う。
たぶん、彼にとっては生きていることその全てが自信であり、その自信すらも悲しさの一端なのだろう。
つまり、何をしても彼は満たされることがないし、優しくされても裏があると思うんだろう。
僕の膝下に、泣きながら羽を震わせながら、君は許して、ごめんなさいと言うけど、僕は許すとか何もないよ。そしてそんなに謝っておいて、明日の朝になると君はちゃんと朝日を浴びて、仕事に行って、健康な顔をして帰ってくるんだから。
そうなの、これはデトックス。許しを乞うことで得られる快感によるセルフプレジャー。僕は道具のように扱われるだけの、君のシスター。
また健康的な朝を演じるんだろうな、と思いつつも、僕は君の髪を撫でて、「君は何も悪くないよ、君は何も悪くないよ」と囁き続ける。
足の裏を怪我して仕舞えばいい。会社になんて行けなくなって仕舞えばいい。そうすれば君は、やっと本当に、心から泣くだろうからね。
意地悪な僕はそう思って、ただ彼の足に手を伸ばす。
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