エスケープ・エスケープ

あなたは優しく

私に重なる

雨の日は少し悲しく

晴れの日は大胆になる

一緒に逃げようと

何度言いたくなっただろう

だけど

君はここで生きたい顔をする

コンクリートの中で

いっしょう生えないシード

もったいないな

私と一緒に行けば

木の下で咲けるのに


君は僕に咲けというけど

それはもう無理だよ

もう僕は

毎日続くこの風景に

どうかしてしまったのさ

平気だとあたま

いやだとからだ

ピアノの音で

君を狂わせる

いつまでもここにいようよ

重なってあげるからさ


そして優しさは遠のき

二人の間には

強迫的な合意が生まれた

割れたコップはガラスで

破片はもうどこへ行ったか

わからないままだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る