私は猫です

嗚呼烏

他の生物様を軽く見る人間

私は、人間の言葉が分かる猫です。

そして。

「猫みたいに、自堕落な生活が送りたい。」

これは、よく聞く人間の言葉です。

言ってしまえば。

猫の生活はだらしない、と言っているのです。

どうでしょうか。

私は、野良猫です。

ご飯は、滅多に同じ場所では食べられません。

生きるには、外を走るのが義務です。

でも、人間からしたら。

「外を元気に走っていて、辛いことなしでいいな。」

こうとしか、思えないんでしょう。

でも、仕方ないと思います。

人間と会話ができないならば、そう見られることを覆すことはできないでしょう。

でも、私は辛いです。

どれだけ大変なことでも。

それさえ乗り越えれば、確定でご飯が食べられる。

同じ場所、同じ環境で。

努力には、必ず対価がついてくる。

私は、その生活の方が羨ましいです。

でも、あくまで。

私は、です。

私は。

全ての生命において、どちらの生活が辛いか。

この問いの答えは、永遠に出ません。

たまに、勘違いする人がいるんですよ。

大変なことが辛いことだって。

辛いというのは、主観的な感情であり。

客観的な努力量ではないのです。

仮に、人間の生活の方が大変でも。

猫の方が辛く感じやすかったら、猫の方が辛いんですよ。

極端な話。

人間の生活を、人間が全く辛くないと思っていれば。

猫の生活が簡単なものでも、猫の方が辛いということになりますからね。

いや、猫さん。

そんなの、当たり前です。

と、思いますよね。

でも。

当たり前のことが、意外と頭から離れているものですよ。

だって、人間。

田中さんは十時間も勉強しているのに、それに比べて貴方は。

こんな勉強量で、もう怠けているの。

って言われただけで。

もっと頑張らないと駄目、という気持ちになるんでしょう。

自分は、辛いのに。

他人が凄いだけで、辛いという気持ちを否定する。

辛いの度合いを。

別の人ならば、どれだけ辛いかと勘違いする。

辛いというのは、主観的な感情だから。

貴方が一瞬でも辛いと思ったら、辛い状況におかれているのだよ。

気を休めてね。

嗚呼。

人間に戻りたい。

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私は猫です 嗚呼烏 @aakarasu9339

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