第7話 各隊に走る予兆


――二番隊・監視局


深夜の監視塔。

監視係が空間記録を見つめていたが、急に額に汗を浮かべる。



監視隊員「……っ? 霊子流が……歪んでる?いや、感知器には何も……」



遠隔結界が“微かに軋んだ”ような音だけが、耳の奥に響いた。



砕蜂(遠くから部下の様子を見つつ)

「……これは、感知できない敵が入り込んでいる可能性が高いな」


「隠密機動、即時展開準備――まだ動くな。気配が薄すぎる」



――三番隊・分隊詰所



吉良イヅルが執務机で記録を整理していたが、ペンを止めた。

ふと、窓の外を見つめる。


吉良「……妙だ。気のせい……では、ない」



何かがいる。だが霊圧ではない。



いや、“霊そのもの”が別のものに擬態しているような……

心の奥に針を刺されたような、刺すような感覚だけが残っていた。







――六番隊・中庭



隊士たちの訓練も終わり、静まり返った中庭にて。

白哉が風の流れに目を向ける。



白哉「……風が乱れている。

通常の空間流動では起きない“裂け目”が、近くに存在する」



恋次「裂け目?それって、侵入者とか……?」



白哉「分からぬ。だが――これは、静かすぎる」




――瀞霊廷・九番隊 情報局本部


夜の帳が下りる中、九番隊の情報局にはまだ光が灯っていた。

データ整理班が小声で交信しながら、各隊からの報告をまとめていく。


その中心、檜佐木修兵はモニターに目を走らせながら、眉をひそめていた。


部下A「……檜佐木副隊長、この流れ、おかしくないですか?

ここ数日間、“未検出霊圧の揺れ”の報告が同時多発してます」


檜佐木修兵「……確認済みだ。けどな――これは“霊圧”と呼べるもんじゃない。

むしろ“その下”……霊子の乱れが、周囲の空間を蝕んでる」



部下B「なのに、警報は一切鳴ってません。通常の結界が反応してないんですよ」



檜佐木「……つまり、奴らは“そういう方法”で入ったってことか」



一瞬、誰もが言葉を失った。



檜佐木「結界が感知しない。

じゃあ……侵入者が“いる”という証拠を、どうやって示す?」



沈黙。



けれど檜佐木は静かに、報告書を一枚抜き出し、目を通す。



檜佐木「こいつらの目的が何であれ、

今、確実に“何か”が、瀞霊廷の中にいる」



彼の瞳に、微かに怒気が宿る。



檜佐木「情報局は全員、緊急警戒態勢。俺が責任持って各隊に連絡を回す。

“まだ起きてない”から動かない、なんて、そんな暇あるかよ」



部下たちが息を呑んで頷いた。



その背後、情報モニターの一つが微かにノイズを走らせ、

映像に映る霊子グラフの“端”が、薄く歪んでいた。


まるで、誰かが“視えないまま”存在しているかのように――




――十番隊・廊下


乱菊「……胸騒ぎ、どんどん強くなってきたわね……」


冬獅郎「ああ。風が全部、何かを“隠そう”としてる。

……結界が感知しないなら、こっちから動くしかねえな」




そして――


――五番隊・執務室


時美が静かに目を閉じる。


まるで、何かが“魂の表面”を撫でているような感覚。

霊圧とは違う。もっと深く、もっと本質的な――“魂の気配”。


時美(……感じる。これは……“魂に穴が開いた”ような、寒さ)



紫音「副隊長……?どうかしました?」



時美「…………来る」



その一言に、空気が凍るような静けさが広がった。

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