気づいたら黒幕!?~信じた仲間たちが世界で無双しているなんて~

相野仁

プロローグ「ワールドクエイク」

 20××年、7月。


 突如として世界すべてで地震が発生し、各国の気象関係者、および軍事関係者が「この星が鳴動している!」と悲鳴をあげた。

 

 地割れ、建物の倒壊、沿岸部への津波のほか、あちこちで雷が走る。


「世界の終わりが来たのか!?」


 と叫ぶ人が続出したあと、各地には異様な建物が出現した。

 そしてそこからあふれ出したのは、地球外生命体とでも言うべき異形の怪物たち。


 人類は戸惑い、叫び、悲しみながらも応戦する。


 「モンスター」と名付けられた者たちは刀剣や銃弾はもちろん、ミサイル攻撃でさえ通じにくかった。


 だが、人類に絶望がまん延しかけたとき、自分たちが新しい力を得たことに気づく者が現れる。


 「マテリアル」と名付けられたものは、人の身体能力を強化するだけではなく、物語に登場する魔法のような事象を引き起こす。


 さらには「スキル」と誰かが呼び出した特殊能力も人々は目覚めた。 


 これらの力によって、人類は億単位の犠牲を出しながらも、何とか生存圏の確保に成功する。


 だが、【ワールドクエイク】がもたらしたのは災いだけではなかった。


 小石サイズで大都市圏数日分の電力を生み出す鉱石。

 清らかな水が毎日二リットル湧き出す瓶。


 植えたら数日で収穫できる上に、水も日照も必要としない芋。

 マグネシウム並みに軽く、鋼よりも頑丈で、さらに火にも水にも強い金属。


 砂漠でもたくましく育ち、緑をもたらす大樹。

 コップ一杯で石油三十万キロリットルに相当するエネルギーを生み出す水。


 さまざまな薬を治癒させる効力を持った丸薬。

 老化の進行を食い止め、寿命を延ばす効力があるという葉。


 そして魔法に匹敵する、奇跡のような力を宿した宝具と名付けられた品々。

 

 人の世界は変わった。


 モンスターという脅威と、死というリスクを踏み越える覚悟ヨクボウをもって、人々はモンスターがわき出し、お宝が眠る建物──ダンジョンへと挑む。


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