第14話 ジジ

 朝日が昇る頃、ジジが目を覚ました。

 ベッドに寝転んだまま、伸びをして体を起こそうとするのだが、昨晩、はしゃぎすぎたせいか体のあちこちが痛かった。運動不足のせいかと、思わず顔をしかめた。

 ベッドの枕元の上の窓のカーテンを少し持ち上げてみると、ピカーっと朝日が差し込んで来た。あまりの眩しさに目が開けられない。目を閉じたまま、カーテンを元に戻した。

 いつもは朝日が昇る前に起きるのだが、今日は起きれなかった。もう少し寝ていようかと考えながらゴロゴロしていると、隣のベッドがモゾモゾ動いているのが見えた。

 ルルが起きたようだった。寝転んだ体勢のままルルが起きるのを見ていた。

 ルルがベッドから起き上がり、着替え始めた。真っ白い大きめの上着に、濃紺の細身のズボンに黒いブーツ。

 そして、着替え終えると、奥の洗面室に入っていった。    

 そんなルルを見て、自分も起きようかと思いながらじっとしていると、洗面を終えたルルが戻ってきて、ベッド下から楽器のケースを取り出した。

 ジジは痛む体をむくりと体を起こし、小声でルルに話しかけた。

「ルル、おはよう。給仕室に行くの?」

ジジの声にルルが少しビクッと体を震わせて、僕の方を見た。

「びっくりした。起きてるなら言ってよ」

「ごめん、ごめん」

「給仕室に行くよ」

「待って、僕も行く」と言って起き上がり、洗面室に向かった。

 洗面室に入ってまず鏡を見た。瑞々しいオレンジ色の髪の寝癖がすごかった。置いてある櫛でなんとか髪を整え、顔を洗った。

 洗面室を出るとルルがいなかった。キョロキョロと部屋を見渡すが、やはりいない。

 僕も行くって言ったのに、置いて行かれたのかと思い、急いでクローゼットに入って素早く服を着替えた。目に付いた薄いピンク色のゆったり目の半袖の上着に、黒のズボン、ブーツの紐も結ばず、慌てて部屋を出た。

 慌てて部屋を出ると、部屋のドアのすぐ横にルルが楽器を抱えて座っていた。

「なんだ、ルル、先に行っちゃったのかと思ったよ」

 胸を撫で下ろす僕にお構いなしに、ルルが立ち上がった。

「さあ、行くよ」

ルルがそっけなく言って、さっさと歩き出した。

「相変わらず、そっけないなぁ」

 僕は、呟きながらルルの後を追いかけた。

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Seven princes −7人の王子と謎の少女ー @mimitoooon

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