ギフト
岸亜里沙
ギフト
カクヨムの機能で、ギフトというものがある。
読者が作家に対し、ギフトという形で支援・応援が出来、作家に還元されるというもの。
このサービスは、他のサイトではなかなか見られない。
私も初めてギフトを受け取った時の感動は、一入だったのを覚えている。
自分の言葉が、誰かの胸に届いてくれたのだと思うと、嬉しかったし自信にも繋がった。
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これは数ヵ月前の事。
仕事終わりにケータイを見ると、一通の新着メールが届いており、それはカクヨムから。
《ギフトが届きました》というもの。
「やった!」
仕事帰りのプラットホームで、私は小さくガッツポーズしました。
私はカクヨムでは連載小説をひとつだけ、細々と書いていましたが、だんだんとフォロワーとPVも増えてきたので、頑張って毎週更新を目標に書き続けていました。
そんな中で、久しぶりに貰ったギフトだったので私は有頂天です。
その日の夜、自宅に帰ってベッドに潜り込み、ケータイでポチポチと少しだけ執筆をして眠りに落ちました。
次の日の朝、ケータイを見るとまたギフトが届いたとメールが。
「また?」
確認すると昨日とはまた別のユーザーからギフトが届いていました。
「凄い!二日続けてなんて初めて!」
頑張って執筆しなくちゃと決心し、意気揚々と仕事に向かいます。
出勤途中、電車で座りながら執筆をしていると、またメールが。
《ギフトが届きました》
「えっ?!こんな事ってあるの?」
しかも別のユーザー名の人からです。
不思議に思いましたが、私の書いた作品がこれだけ評価されているのかなと思うと、嬉しい反面プレッシャーでした。
しっかり作品を更新させなきゃと。
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次の日、土曜日で仕事もお休みだったので、朝からずっと執筆に勤しんでいた時、またしてもカクヨムからのメール。
《ギフトが届きました》
「嘘でしょ?」
私は嬉しさより、怖くなりました。
「きっと何かの間違いよ・・・」
さすがに三日連続でギフトなんかあり得ないと思い、私はカクヨムの窓口に連絡してみる事に。
カクヨムからの返答は、二~三日かかりました。
その間も、たくさんのユーザーからギフトが届き、私は執筆が苦痛になりケータイを放り投げる。
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カクヨム窓口からも、特定ユーザーからのギフト受け取りを拒否する事は出来ないので、もしも拒否をされる場合は、ロイヤルティプログラム自体を停止に設定してくださいと連絡がきた。
私はロイヤルティプログラムを停止し、小説の執筆だけに没頭しようと考えたが、その考えは浅はかだったよう。
ギフトを送ってきたユーザーから、投稿している小説に『ギフトを贈らせてください』のコメントが。
コメントを削除してもしても、次々と書き込まれる。
一方的な好意は、時として否定や批判よりも恐怖だ。
私はカクヨムを退会し、執筆活動を止める事にした。私の物語は、私の中にしまっておこうと。
しかし、その数日後、自宅のポストに一通の手紙が入っていました。
その手紙には『ギフトを贈らせてください』とだけ書かれていた。
This novel is fiction.
ギフト 岸亜里沙 @kishiarisa
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